拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

生きる活力

あなたへ

 

私の父が、肺を患ったのは、

あなたが側にいてくれた頃のことでした。

 

父の体を心配し、たくさんの気遣いをしてくれたあなたのこと、

今でも、よく覚えています。

 

あの頃の父は、まだ、自由に動くことが出来ていましたが、

あなたを見送ってからの父は、

入退院を繰り返しながら、

少しずつ、状態が悪化していきました。

 

数年前から、在宅医療へと切り替え、

自宅で過ごしていましたが、

ここ数年は、自由に動き回ることが困難になり、

主に、ベッドの上での生活となっていました。

 

呼吸が苦しくなったことから、

父が病院へ運ばれたと連絡が入ったのは、先日のこと。

 

コロナウイルスの観点から、

面会をすることは出来ないのだと聞かされ、

離れた場所から、父の身を案じていた私たちでしたが、

今夜が峠かも知れないと、

そんな連絡が入ったのは、先週末のことでした。

 

特別に、面会の許可が下りたことに、

覚悟をしなければならないのだと思いました。 

 

あの子と私が声を掛けると、

僅かに反応を見せてくれた父。

 

酸素濃度が低く、恐らくは、

意識は朦朧としていたのだと思いますが、

私たちの声に反応し、

何度も体を起こそうとした父の姿に、言葉はなくとも、

逢いたかったと、

そんな父の声が聞こえてくるようでした。

 

コロナウイルスの観点から、

1年間、逢うことが出来なかった私たちですが、

こんな形で、1年振りの家族の集合となりました。

 

家族が、病室へ集まってから、

どれくらいの時間が経った頃からだったでしょうか。

 

低かった酸素濃度が、少しずつ、上がり始めたのです。

とても驚きましたが、

家族との再会に、元気を取り戻してくれたのかも知れません。

 

今夜が峠かも知れないと、そう連絡が入ってから、3日程が経ちました。

心配で、眠れない夜が続きましたが、

今現在も、容体は安定しています。

漸く、少し安心しながら、あなたにも、報告を。

 

きっと、皆と逢えて、安心したのだと思うよ

 

母からは、こんな言葉がありました。

 

家族と過ごす時間とは、

生きる活力にも繋がるものなのかも知れませんね。

 

無口な父は、

自分の感情を、表に出すことはありません。

 

コロナウイルスの影響から、

離れて暮らす家族と逢えなかったこの時間は、父にとって、

本当は、とても辛かったのだろうと、

この1年間の父の気持ちを、知れたような気がします。

 

どうかこのまま、父の容体が回復し、

笑顔で逢える日が来ますようにと願いながら、

私たちはまた、離れた場所から、

父を応援したいと思います。