拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

父の友人

あなたへ

 

コロナウイルスの観点から、父が亡くなったことは、

多くの人には知らせないままに、家族だけで、静かに見送りましたが、

きっと、人伝に、話が耳に入ったのでしょう。

先日、父の高校時代の同級生が、実家へ来て下さったようです。

 

父に手を合わせると、お茶を飲みながら、

高校時代の父の様子を、話して聞かせてくれたそうです。

 

幾つかのエピソードの中で、印象に残ったのは、

授業中に居眠りばかりをしていたというエピソードでした。

 

高校時代の父は、アルバイトと遊びに明け暮れており、

授業中には、いつも居眠りをしていたそうです。

 

居眠りをしては、先生に叱られる。

そんな父でしたが、

 

勉強している様子はなかったのに、

テストの成績は、いつも優秀だったんだよな

 

父の友人は、そう言って、

懐かしそうに、父と過ごした時間を振り返り、

微笑んでおられたそうです。

 

遊びの合間に勉強をすれば良いんだよ

たくさん遊んだら、少しだけ勉強をして、

また、たくさん遊びなさい

 

これは、

高校受験に向けて、

必死に勉強に向き合っていた頃のあの子にくれた父の言葉です。

 

初めての受験というプレッシャーに押し潰されそうだったあの子にとって、

父のこの言葉は、

とても衝撃的で、且つ、救いの言葉であったに違いありません。

 

受験勉強に追われながらも、

じいちゃんの教えだから なんて、

時には、堂々と、たくさんの息抜きをしたあの子の姿を思い出します。

 

きっと、高校時代の父は、

アルバイトと、遊びの合間に、少しだけ勉強をしていたのでしょう。

 

少しだけ勉強をすれば、効率が良いとも言っていた父の言葉は、

既に実践済みだったのだと、

私の知らない、まだ10代だった頃の父の姿を思い浮かべて、

なんだか、笑ってしまいました。

 

決して褒められたエピソードではないけれど、

父のその高校時代の時間があったからこそ、

受験というプレッシャーに押し潰されそうだったあの子に、

遊びの合間に勉強をすれば良いのだと、

こんな言葉をくれることが出来たのでしょう。

 

私とは、別な視点から、

あの子を応援してくれた父が、父で良かった。

 

中学3年生だったあの子に笑い掛けていた父の笑顔を、

鮮明に、思い出しました。

 

高校時代の父は、いつでも、仲良し4人組で、

一緒に過ごしていたそうです。

 

1人は、既に他界しており、

此処に過ごす2人の友人が、実家へ来て下さいました。

 

それぞれに、若い頃と同じように健康体とはいかないようですが、

いつまでも、元気でいてくれたら良いですね。

 

今頃の父は、そちら側で、

先に他界された友人と再会し、

昔話に花を咲かせているのかも知れませんね。

 

そちら側でも、言われているのでしょうか。

いつも居眠りばかりで、先生に叱られていたのに、

テストの成績は、いつも優秀だったよなって。

 

父の高校時代の話を聞きながら、

そちら側で、友人と笑い合う父の姿を思い浮かべました。

 

 

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