拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたが叱ってくれた夢

あなたへ

 

あなたを見送ってからの私は、夢の中で、

どれだけの時間をあなたと一緒に過ごしただろう。

 

あの夏の続きのような日常生活を送る夢、

ただ、あなたに寄り添う夢、

家族3人で、旅行へ出掛けたり、

2人だけで、デートを楽しんだり。

あの夏からの私たちは、

夢の中で、たくさんの時間を過ごしましたね。

 

数えきれないほどに、たくさんのあなたの夢を見てきたけれど、

そんな中で、あなたに叱られた夢を見たのは、

いつのことだっただろう。

 

あの頃の私は、悩みを抱えながら、

傍から見たらきっと、一番最悪で、

私にとっては、一番楽な方法を選びたいと考えていました。

もう全部嫌だ!って。

 

誰に相談することも出来ないままで、

晴れない気持ちを抱えながら、日々を過ごしていた私に、

夢の中のあなたは、言ったの。

 

それは駄目だよって。

 

あの時のあなたは、何の理由も話してはくれないままに、

私が選ぼうとしていた方法を、間違えているとだけ諭しましたね。

 

あなたには、私の気持ちなんて、分からないよ

 

あの時の私は、夢の中のあなたに、

こんなふうに言ってしまったけれど、

あなたは、ただ、私の側に寄り添ってくれていました。

 

あの夢から目を覚ました時の私は、

悲しくて、ちょっとだけ、怒っていたよ。

 

あなたには、分からないよ

それなのに、どうしてあんなことを言うの?って。

 

あなたの言葉は正論だったけれど、私にとっては、最善とは思えずに、

何故これ以上に苦しい思いをしなければならないのだと、

置かれた状況を恨みたい気持ちと、

逃げ道がなくなってしまったことへの絶望感を感じていました。

 

あなたに叱られたあの夢を見たのは、

今から、何年前のことだったでしょうか。

 

あれからの私は、時々、あなたに叱られたことを思い出しては、

何故、あなたに反対されたのかを考えていました。

 

例えば、何かを切り捨てることは、

とても簡単なことなのかも知れません。

そうではない方法を探し当てるには、

かなりの時間が掛かるものなのかも知れません。

 

あれから、幾つかの年を重ね、私が見る景色が少しずつ変化し、

漸く、今になって、

私なりの答えを見つけることが出来ました。

 

あの頃の私には見えなかった別な方法を見つけることが出来たことで、

あの夢の中のあなたの言葉の意味が、分かったような気がします。

 

もしも、あの時、あなたが叱ってくれなければ、

私は、自分にとって楽な方法を選び、

苦しさから、自分を解放していたのでしょう。

そこには、

後悔の気持ちはなかったのかも知れないけれど、

今の私は、此処にはいなかったのだと思います。

 

きっと、あの時のあなたは、

ずっと先を見て、様々なことを考えて、私を叱ってくれたんだね。

それなのに、あの時の私は、

素直に、あなたの言葉を受け入れることが出来なくて、ごめんなさい。

 

あの夢の中のあなたは、

何故、それが駄目であるのか、その理由を話してはくれなかったけれど、

あなたの短い言葉の中には、

たくさんの想いが詰まっていたのだと思いました。

今になって漸く、

あの日のあなたの想いが、ここに届いたように思います。

 

あの時、叱ってくれてありがとう。

 

あなたは、何処にいてもあなたで、

あなたは、何処にいても、私を救ってくれる大切な人。

本当に、ありがとう。

 

これまで、ずっと苦しかったけれど、

あなたが叱ってくれたから、

あの時の私の中にはなかった新たな選択肢を見つけ、

漸く、自分なりの答えに辿り着くことが出来ました。