拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたが思い描いたこの世界

あなたへ

 

あの頃のあなたは、

どんな未来を思い描いていましたか。

 

あの頃のあなたが思い描いた私たちは、

今、此処にいるでしょうか。

 

此処は、あなたがいない世界。

 

此処に生きるあの子と私は、

あの夏のあなたから見たら、どんなふうに見えるでしょうか。

 

僕は、何も心配しない気がする

 

これは、あの夏のあなたが書き遺した言葉の一節です。

 

あなたが遺した言葉の、

全部の意味を読み解くことが出来たあの日から、

時々、あなたの想いを読み返しては、考えていました。

 

あなたは、此処に、

どんな私たちを思い描いていたのだろうかと。

 

きっと、あの想いを文字に認めた日のあなたは、

想像したのでしょう。

あの頃のあなたにとっての、もしもの世界の私たちを。

 

もしも、この世界から、自分がいなくなってしまったら、

私たちは、どんなふうに歩んで行くのだろうかって。

 

あの夏のあなたは、きっと、知っていたね。

 

あなたが此処からいなくなってしまった世界の私たちが、

どんなにたくさんの涙を流すのか。

思い出の数を数えながら、私たちが、どんなことを思うのか。

 

その上で、

あの夏のあなたは、きっと、思い描いたんだね。

どんなに泣いても、立ち止まっても、

ゆっくり、ゆっくりと歩もうとする私たちの姿を。

 

あなたが書き遺した文字の中には、

私たちを心配する想いは、どこにもなくて、

目の前にいた私たちを、

ただ、大切に、慈しみながら、見つめるあなたの想いと、

この2人なら、きっと大丈夫だと、

私が考えていたそれよりもずっと、

私たちを信じてくれているあなたの想いでした。

 

あなたに守られていたあの夏の私は、

全然、強くなんてなかったのに、

あの子は、まだ、中学生に上がったばかりだったのに、

あなたは、私が思っていたよりも、ずっと、

私たちを信じてくれていたんだね。

 

あの夏のあなたが思い描いた私たちは、

今、此処にいますか。

 

私たちは今でも、

あの夏のあなたが愛してくれていた私たちでしょうか。

 

あの夏からの私たちは、

変わらなければならなかったことと、

変わってはいけないことを学びました。

 

きっと、何処かにいるあなたに恥じないように、

懸命に、あなたがいない時間を生きる私たちは、

あの夏のあなたが思い描いた私たちへと、

成長することが、出来ているでしょうか。

 

 

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