拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

お盆 -2022-

あなたへ

 

今頃のあなたは、

出発の準備を整えているところでしょうか。

 

それとも、もう、

そちら側を出発した頃でしょうか。

 

今日の私は、あなたをお迎えする準備を整えながら、

あなたのことばかりを考えていました。

今頃のあなたは、何をしているのかなって。

 

明日から、お盆に入ります。

今年も、この日が来ることを、とても楽しみに待っていました。

 

ねぇ、あなたは今のあの子の姿を見たら、

どんな顔をするのかな。

 

あれから、更に肌を焼いたあの子の姿に、まずは、

黒いなぁ

なんて、笑うのかしら。

それとも、あの子の整った筋肉と、自分の姿を比べて、驚く方が先かしら。

 

あの子が生まれてから、今が最も逞しい姿。

昨年のあの子から随分と進化した姿を見たあなたの第一声は、

どんな言葉なのだろう。

 

私はね、先日、髪を切りました。

 

予定よりも短く切った今の私の髪型は、

あなたを見送ってから、一番、短い髪になりました。

 

あの子は、似合うねって言ってくれたけれど、あなたはどうかな。

 

あなたの驚いた顔や、笑った顔。

たくさんのあなたの姿を思い浮かべながら過ごした今日一日は、

なんだか、あっという間に過ぎてしまいました。

 

今年の私も、なんだか遠足前の子供みたい。

 

あなたが帰って来てくれることが嬉し過ぎて、

あなたのことばかりを考えては、

明日のあなたをたくさん思い描いてしまうの。

 

きっと、今夜の私は、なかなか眠りに就けないままに、

頬を緩めて、やっぱり明日のあなたを思い描いてしまうのでしょう。

 

ねぇ、あなた。

明日は、何時頃にこちらに到着の予定ですか。

 

あの子も私も、とても楽しみに待っています。

気を付けて帰って来てくださいね。

 

 

 

あなたを想う日 -2022-

あなたへ

 

今日のあなたは、どんなことを想っていましたか。

 

今日の私は、

あの日のあなたが私にくれた温もりを感じていました。

 

あの日と同じように、

この手を握り締めて、手の内側に感じたあなたの温かな温度を、

ただ、感じていました。

 

あの日から、8年が経ちました。

 

あなたのその手の温もりが、

今も私を優しく包み込んでくれるように、

あの日の私の手の温もりは、

今もあなたの側にあるでしょうか。

 

あの夏のあなたの温度を感じながら、

この8年間を振り返り、

胸の内側に溢れる想いを文字に綴るのなら、どんな言葉が相応しいのだろうかと、

今、感じる想いに相応しい言葉を探しました。

 

それなのに、何故なのでしょうか。

 

あなたに伝えたい想いがたくさんあるのに、

今日の私は、想いを上手く言葉に出来ないままに、

涙だけが溢れ続けてしまうのです。

 

だから、今日の私は、

ただ、涙を流したまま、

胸の内側に留まった、言葉にならない想いをしっかりと感じてみました。

 

止め処なく溢れ続ける涙をそのままに、

生暖かな温度を頬に感じながら、

それら全てが、

あなたへの愛で出来たものだということを、

ただ感じていました。

 

最期の瞬間まで、

懸命に生きたあなたを、

私たちは、いつでも誇りに思っているよ。

 

きっと、空の彼方、

何処かで笑っていてくれるあなたへ。

言葉にならないままのこの愛たちが、全部、届きますように。

 

 

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コトバ -夏の音-2022

待ってたよ

 

思わず呟いたのは

梅雨明けから

どれくらいが経ってからだっただろう

 

今年の梅雨明けは例年よりも早く

思えば

静かな夏の始まりだった

 

待ち侘びた夏の音を聴きながら

彼がいた夏の記憶を順に辿ってみる

 

私を呼ぶ彼の声

 

繋いだ手の温もり

 

まだ膨らみのないこのお腹に

手を当てて笑う彼の姿

 

小さなあの子に向けた幾つもの彼の笑顔

 

3人で夢中になった水遊び

 

遊び疲れて眠るあの子を抱いて

寝室に運ぶ彼の

あの子を見つめる優しい眼差し

 

夏の音を聴きながら

彼と出会って幾番目かの記憶の中に立ち止まり

そっと問い掛けてみる

 

その腕に抱いた小さなあの子の温もりを

今どんなふうに感じていますか

 

小さなあの子を抱いたまま

不意に顔を上げたあの頃の彼が

 

あまりにも穏やかで

優しい笑顔を見せてくれるから

 

思わず

大きく息を吸い込んで

空を見上げてみる

 

あなたを見送ってから

8番目の夏のあの子もよく笑ういい子だよ

 

空の彼方へ呟きながら

堪え切れずに落とした涙の音を

夏の音がそっと搔き消して

 

歪む視界の向こう側に

ただ穏やかに頷く彼の笑顔を見せてくれた