拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2016-01-01から1年間の記事一覧

宇宙のこと

あなたへ 先日、あの子が突然、宇宙について、語り出しました。 宇宙は、どんなふうに生まれたのか。ブラックホールに吸い込まれたら、どうなるのか。宇宙について、あの子なりの仮説を、色々と聞かせてくれました。 今まで、誰にも話した事はなかったけれど…

コトバ -想い-

空を眺めて彼を想う 今日はね こんな事があってね 今日はね こんな事を頑張ったよ 明日はね こんな事を頑張ろうと思うよ あのね あの子がね 伝えたい事はとめどなく溢れてくる あのね こんな事が出来るようになったよ あの子と こんな話をしたよ 夢の中で逢…

アップルパイ

あなたへ 先日、あなたのお母さんが、野菜をたくさん持ってきてくれました。時々、こうして来てくれること、本当に感謝しています。 お母さんが持ってきてくれた、たくさんの野菜と一緒に、 アップルパイが入っていました。 あなたは、覚えていますか? あな…

おじいちゃんの記憶

あなたへ 先日、あの子と一緒に、マスカットを食べながら、 ふと、思い出し、20年前に亡くなった、私のおじいちゃんの話をしました。 私が、小さかった頃、おじいちゃんは、庭で、マスカットを育てていてね。おじいちゃんの家の近所に住んでいた、 私と同じ…

初めてのラブレター

あなたへ 先日、あなたのものを整理していたら、見つけてしまいました。 結婚する前に、私があなたに書いた初めてのラブレターを。 それは、私達が出会って、 初めて迎えたあなたの誕生日に、プレゼントと一緒に渡した手紙でした。 取って置いてくれたんです…

大丈夫

あなたへ 今日は、とても疲れてしまいました。 こんなふうに元気が出ない日には、あなたに、側にいて欲しくて、逢いたくなる。 あなたに寄り掛かって少し、休んだら、きっと元気になると思うんだ。 寂しいよ・・・ こんな事言ったら、あなたに心配されてしま…

パックお化け

あなたへ あなたがいた頃は、どうやって、時間を作っていたんだろう。 あの日から、時間に追われる事は、相変わらずで、なかなか、あの頃みたいに、自分に時間を掛ける時間が、取れません。 いつまでも、あなたの綺麗な妻でいたい。 そんな気持ちを思い出し…

月夜の夜に

あなたへ 今夜は月がとても綺麗です。ちょっと、寒かったけれど、しばらく、月を見ていました。 夜の匂いを嗅ぐとね。 結婚する前の私たちの事を思い出します。 仕事が忙しかったあなたの帰りは、 いつでも、とっくに日が暮れてからで、 疲れているはずなの…

背比べ

あなたへ 先日、あの子の学校で、身体測定が、ありました。 この間よりも、また大きくなって、 あなたの身長まで、あと、1mmですって。 あんなに小さかったあの子が、 あなたの身長に追いつきそうな時が来るなんて、生まれたばかりの頃は、想像も、出来ませ…

コトバ -最後の我儘-

それは 彼がいなくなり 間もなくの事だった 小さな 丸いお菓子を全部食べたら 彼のところに行ける という夢を見た 手元を見ると 半分程を食べた そのお菓子があった あと残り半分を食べれば 彼のところに行けるんだ そう思って 私は そのお菓子を見つめてい…

願い

あなたへ もしも時間を戻す事が出来たなら、私は、行きたい日があります。 あなたの検査手術の説明のあった日。 あの日の話では、検査手術の翌日には、一時帰宅をする予定でしたね。 手術と言っても、メスを入れるわけではないから、 翌日には、一時帰宅して…

インフルエンザ予防接種のこと

あなたへ 先日、あの子のインフルエンザ予防接種券が届きました。 あなたがこちらにいた頃は、インフルエンザの予防接種も、 家族行事のひとつでしたね。 診察室では、決まって、あなたが最初に受けて、その次は、私。一番最後は、あの子の順番でしたね。 あ…

ホタル

あなたへ 近頃のあの子の様子には、目に余るものがあり、 ちょっと・・・ いえ、本当は、かなりの悩みどころでした。 一言で様子を伝えるなら、友達と遊んでばかり。 それはまるで、現実逃避をしているようにも、 あの子にしか見えない恐怖から、必死に逃げ…

小さな一歩

あなたへ 昨日ね、ワイパーをかけても、前が見えなかったんだよ ワイパーのゴムを交換した方がいいね 近くのカー用品店に行けば、変えてくれるから 行けるよね? これは、雨が降った翌日の、 病室でのあなたとの会話でしたね。 あなたが退院するまで待ってる…

コトバ -雲の階段-

雲に乗ることができたらいいのに それは小さな頃の私の夢だった 友達と一緒に空を見上げて どの雲に乗ってみたいか 空想したことが懐かしい もしも 雲に乗ることができたら 彼のところまで 雲の階段を作って 逢いに行こう 彼が好きだった お菓子とジュースを…

最後のプレゼント

あなたへ あなたを見送ってから、初めての私の誕生日の日のことでした。 あの子は、小さなポーチを私に手渡しながら、言いました。 誕生日おめでとう。これは、お父さんと僕からのプレゼントだよ と。 小さな可愛いポーチの中には、ノートが入っていました。…

一歩踏み出す勇気

あなたへ あのね、あなた 今日は、報告があります。 実は、ここを引っ越そうかなって思っています。 あなたを送り出し、漠然と、引越しの事を考えながら、 少しずつ、少しずつ、片付けを始めました。 本当は、2年前の夏のまま、 何も変えずに、暮らして行け…

ひとりぼっちの夜

あなたへ 今日は、ひとりぼっちの夜のです。 あの子は、お友達の家に、お泊まりに行きましたよ。 時間が出来たので、今日は、ひとりを楽しんでみる事にしました。 読書が好きな私に、あなたは、たくさんの本をプレゼントしてくれましたね。どれも、私の宝物…

武道大会のこと 2

あなたへ 先日、あの子が頑張っている武道の大会がありました。 練習の成果が発揮された、あの子の素晴らしい姿を見る事が出来ました。 この間、あなたに報告した大会では、残念な報告でしたが、 今回は、見事に、最優秀賞を頂くことができましたよ。 トロフ…

コトバ -確認-

私は彼の声が好きだった 低くよく通る声で 何度も私の名前を呼んでくれた優しい声も 甘えた声も 怒った声も 寝ぼけた声も 全部好きだった 私は彼の手が好きだった 彼の大きな手に 私の手はすっぽりと包まれ 色々なところに出掛けたんだ温かくて安心する彼の…

絵を描きに行ったこと

あなたへ 今年のこちらは、台風が多く、今日は、久しぶりに晴れました。 あなたがこちらにいた頃は、 毎年、この時期には、お弁当を持って、家族3人で、絵を描きに行きましたね。 あの子と私は、風景を描いたけれど、 何故かあなただけ、絵を描くあの子と私…

あなたが龍になった日

あなたへ 四十九日の法要の日、あなたの戒名をいただきましたね。それは、龍の文字が入った、あなたが、とても気に入りそうな名前でした。 あの日、ご住職は、おっしゃいました。 四十九日が経つと、 亡くなった人の魂は、この世から離れて、あの世へと旅立…

あなたが龍になるまで

あなたへ あなたの想いが全て詰まったような、 重く、悲しく、優しい空気が、家の中に満ちていたのは、 あなたが息を引き取ってから、四十九日の法要を終えるまでのことでした。 特別な能力など、何も持ち合わせてはいなくとも、 はっきりと、あなたが側にい…

コトバ -傘-

雨の日には あの子と私が濡れないように 彼は大きな青色の傘を差してくれた その傘のお陰で 雨に濡れる心配もなく いつでも安心していられたんだ 雨が止むまで 彼の青色の傘は 私達を守ってくれた 私達にとって 居心地のいい 当たり前の場所だった ある日 青…

インチキ仙人様への報告

あなたへ この間は、助けてくれて、ありがとう。 あなたのふざけたインチキ仙人に、ひとりで笑い、 いつの間にか、悩みが、悩みではなくなっていました。 あれから、問題が無事に解決でしたので、報告です。 あの時、ひとりで悩んだ事が、馬鹿らしくも感じる…

謝りたいこと

あなたへ あなたに、謝りたい事があります。 あれは、今年の5月の事でした。 朝から、とても、いい天気で、暖かく、いつもの私なら、幸せに感じる陽気の日でした。 でも、あの日だけは、何故か違ったのです。 あの日の私は、まるで、私じゃないみたいでした…

あなたのいる場所

あなたへ あなたは、今、どんなところにいますか? 先に旅立ったあなたのお父さんや、あなたの友達との再会。 新しく出会った仲間が出来たり、楽しくしているあなたを想像してみます。 いつだったか、あなたが、馬を連れて帰って来た夢を見ました。 窓から、…

地震のこと

あなたへ 最近、こちらでは地震が多いような気がします。少しの揺れでも敏感に反応してしまう私。 だって、思い出してしまうんです。3.11東日本大震災の事を。 あの日は、家族3人、別々なところにいましたね。 私だけ他県にいて、電話も繋がらず、携帯電話の…

コトバ  -不思議な感覚-

それは彼がいなくなり 間も無くの事だった 悲しさも苦しさも必死で隠し 平気な振りをしながら 目の前にある仕事を黙々とこなしていたある日 心ない人の言葉に傷つき 今にも溢れそうな涙を必死に堪え まるで生傷をナイフで抉られたかのような痛みを抱えながら…

体育祭のこと

あなたへ 先日、体育祭がありました。暑かったけれど、天気にも恵まれ、とても良い体育祭でした。 2年前は、春の体育祭でしたね。あの日が、あなたと2人で、 あの子の学校での様子を見に行った最後の機会でした。 上級生の力強い競技に、あなたと2人、驚い…