拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

3月32日 ~3月32日~

「あぁ、腹減った。」 あの子の声に、朝食の準備を始めることにした。 休日の朝は、パンにすることが多い我が家。 手早く朝食の準備を整えると、食卓に着き、 パンをちぎりながら、何気なくテレビの声に耳を傾けた。 「さて、3月32日の今日━━━」 アナウンサ…

3月32日 ~確信~

私は、再び彼の真横に座り、彼の顔を覗き込んで、じっと見つめた。 眉毛、まつ毛、彼の瞳に映る私、輪郭、少しだけ生えた髭、どこからどう見ても本物だ。 納得できる確信が持てたら、もう、考えることを辞める━━━。 とは言っても、大したことは、思いつかな…

3月32日 ~何が夢で何が現実か~

その時、 ガチャ 不意に開いたドアの音に驚き、飛び退くように彼から離れ、ドアの方を見ると、そこにあの子が立っていた。 「おはよう」 眠そうに目をこすりながら、ボサボサ頭で部屋に入って来たあの子の姿に、私は思わず叫んだ。 「デカッ!!」 ━━━そう叫…

3月32月 ~彼の温もり~

ここは、2年と2ヶ月程前まで住んでいた、彼と過ごした家だった。 驚きながら声が聞こえた方へ振り返ると、そこには、彼が立っていた。 「ちゃんと早起き続いてるんだね。関心、関心。 休みの日は、決まって寝坊してた数ヶ月前が懐かしいねぇ。」 何も言葉の…

3月32日 ~彼からの電話~

彼がこの世を去ってから、もうすぐで4年と8ヶ月を迎えようとしている━━━。 あれから私は、少しは強くなれただろうか。 窓から空を見上げ、これまでのことを思い出していた私の携帯電話の着信音が聞こえる。 画面を見ると相手の番号は、見たことのない変な番…

3月32日 ~翼を休める場所~

四苦八苦しながら、引っ越しを終えたばかりの頃の私は、よく眠っていた記憶がある。 それまでの2年5ヶ月分の疲れを取るかのように、本当によく寝ていた。 休日などは、一通りの家事を終えると、いつの間にか眠っていたこともあった。 そうして、存分に眠った…

3月32日 ~決断~

彼が亡くなり、あの子と2人、二人三脚で生きる毎日が始まった。 私は、笑うことを忘れ、得体の知れない何かから、必死に逃げるように、ただ焦っていた。 何処かに辿り着かなくてはならない━━━。 それが何処であるのかも分からないまま、私は、焦り続けていた…

3月32日 ~あの日まで~

2014年8月8日、彼がこの世を去った。 彼とは、私の夫であり、あの子━━━彼との間に生まれた息子の父親だ。 彼は、突然に心臓を患った。 救急車で運ばれた日は、医師から今夜が峠だと告げられたけれど、そこから皆が驚くほどに回復し、ICUから一般病棟に移るこ…