拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2019-01-01から1年間の記事一覧

抜け落ちた記憶

あなたへ 私は、どれだけの記憶を、 あの夏に置いてきてしまったのだろう。 あなたが好きだった缶コーヒーを眺めながら、 そんなことを考えていました。 先日、ふと、思い出して、 あなたにお供えした、缶コーヒー。 実はね、 あなたが好きだった缶コーヒー…

愛おしい時間

あなたへ 寒さに向かうこの季節、 思えば、あの子は、毎年、今くらいの時期になると、 体調を崩すように思います。 今年も例外なく、体調を崩したあの子は、 熱はないけれど、頭が痛い 咳は酷くはないけれど、鼻水が止まらないと、 なんだか、とても辛そうな…

缶コーヒー

あなたへ あの缶コーヒー、久しぶりに飲みたいな 買って来てよ あなたは、そんなふうに、 私に話し掛けてくれていたのでしょうか。 早速、あなたの場所へと、缶コーヒーをお供えしながら、 あの頃のあなたのことを思い出していました。 庭の草取りを担当して…

もしもの世界をみつけることが出来なかった私たち

あなたへ 俺ね、今の自分、好きなんだ あの子がそう話してくれたのは、 あの子の将来の夢について話し合っていた時のことでした。 今の自分がいるのは、 お父さんが此処にいないからなのだと、 あの子のそんな話に、 辛く、悲しく思いながらも、 私は、惹き…

心と心

あなたへ あれから、1ヶ月と少しが経ちました。 夢の中、 あなたがプロポーズをしてくれた時のことを思い出していました。 寂しがり屋な私ですが、 あの日からの私の心は、ずっと満たされたまま、 あなたからの愛が溢れています。 あなたに逢いたいことに変…

立冬の奇跡

あなたへ あなたが知らない、 あの子の中のジョニーの存在。 そんなに大したこともないんでしょ? なんて、思っているでしょうか。 とんでもありません。 毎朝、毎朝、起こしても、起きないあの子を起こすのが、 どんなに大変なことなのか、 いつでも目覚め…

気持ちを伝える大切さ

あなたへ あなたを見送ってからの私が、一番変わったところは、 言葉にして、気持ちを伝えるようになったことです。 思い返してみれば、あの頃の私は、 言葉にしなくても、気持ちは伝わるものだと思っていました。 家族だから いつの間にか、そんなふうに、 …

あの子への最初のプレゼント

あなたへ 先日、あの子と、名前の話をしました。 あの子の話に出てくる友達の呼び名は、その殆どが苗字ですが、 下の名前は、こんな名前なんだよと、 色々な子たちの、下の名前を教えてくれました。 どの子も、とても素敵な名前ばかりで、 その名を聞く度に…

親孝行

あなたへ 今日の私が、一瞬、 心穏やかでいられなくなったのは、 親よりも先に死んだら、地獄行き こんな言葉を目にしたからでした。 大抵の嫌なことは我慢出来るけれど、 あなたのことだけは、我慢出来ないの。 その文字を見つめながら、 思わず想像したの…

今の私が見ている景色

あなたへ あの頃の私の気持ちを綴った文字を眺めながら、 得体の知れないアレを思い出していました。 あなたを見送ってからずっと、 私は、得体の知れない何かに追われていました。 どんなに頑張って逃げても、 得体の知れないアレは、すぐ背後にまで迫り、 …

台風の日の優しい嘘

あなたへ 今年も、あなたの実家から、キウイフルーツが届きました。 今年のキウイフルーツも、大粒で、とても美味しそう。 食べごろ間近になったら、 あなたのところにも、お供えしますね。 早速、あなたの実家へとお礼の電話を掛けると、 いつも通り、元気…

ハロウィン -2019-

あなたへ 今日は、ハロウィンです。 昨年から、ハロウィンのイベントへと出掛けるようになったあの子は、 今年もまた、嬉しそうに、友達と出掛けて行きました。 あれは、昨年のことでした。 初めて出掛けるハロウィンのイベントのお供にと、 邪魔にならない…

耐えられる試練

あなたへ 耐えられるだけの試練しかやってこない そんな言葉を聞いたのは、あなたと結婚してから、 どのくらいが経った頃だったでしょうか。 人生の中、どんなに辛く苦しい出来事であっても、 その本人に耐えられるだけの試練しかやって来ないというのである…

人をダメにするもの

あなたへ 最近のこちらでは、急に寒くなってきました。 まだ早いかな などと迷いながらも、 先日、ホットカーペットを出しました。 冬仕様へと変わった我が家。 そこへ、丁度、帰宅したあの子は、 部屋を眺め、 あぁ、これは人をダメにするねぇ そう言って、…

6歳年上の友達

あなたへ 私には、6歳年上の友達がいました。 他県に住む彼と私は、何の共通点もなく、 本当なら、挨拶すら、交わすこともないはずの人でした。 電話だけの友達だよ そんなふうに、あなたに説明した時は、 なんだか、不思議そうな顔をしていましたっけ。 不…

大雨の日

あなたへ 先日の大きな台風から、2週間が経ちましたが、 昨日のこちらでは、台風の影響から、また大雨が降りました。 朝のうちは、通学や通勤に、影響はありませんでしたが、 帰りが大変でした。 丁度、私が会社に着く頃から強くなった雨脚は、弱まることが…

あの子のトラブル回避方法

あなたへ あの子が今の進学先へと進路を決めた時に、 密かに不安だったのは、電車での通学という点でした。 トラブルなんて、どこにでもあるけれど、 人が集まる駅のホームは、 特にトラブルも多いのではないかと考えていた私にとって、 本当は、とても心配…

あなたの中に作ってしまった傷

あなたへ 万が一、私かこの子、 どちらか片方を選ばなければならなかった時には、 この子を助けてあげてね これは、あの頃の私が、あなたに伝えた言葉。 最近、読んだ本がきっかけで、 あの子がまだ、お腹にいた頃のことを思い出していました。 インターネッ…

あなた色が消えたこの世界で

あなたへ 時々、あなた色の眼鏡を掛けてみては、 この世界を眺めてみる。 私は、本当に、これで合っているのかなって。 こんなふうにして、この世界を眺めては、 あなたなら、どう感じるのだろうって、 時々、そんなことを考えます。 あなたは、いつでも、シ…

昭和時代

あなたへ 昭和時代って、いいよね あの子が、昭和時代に興味を持つようになったのは、 あなたを見送ってから、 どれくらいが経った頃からだったでしょうか。 例えば、音楽や、漫画。そして、乗り物。 あの子は、自分の目で見たことのない昭和の時代が好きで…

コトバ -同じ空の下-

大変でしたね 辛い思いをしましたね 今はたくさん泣いていいと思います 我慢なんて必要ありません 空を見上げながら 名も知らない方へ問いかけてみる 食事はとっていますか 眠れていますか 夜は冷えるので暖かくして下さいね その気持ち よく分かりますだな…

安否報告

あなたへ 台風が去りました。 まずは、あの子も私も無事であることを、報告します。 いつもは、あまりテレビをつけない我が家ですが、 昨日は、テレビをつけたままで過ごしました。 窓ガラスが割れるのではないかと心配になるほどの強い風に、 あの子と2人で…

台風

あなたへ こちらでは、大きな台風が迫って来ています。 地球史上最大級 そんな言葉を聞いて、私は今、とても怯えています。 仕事帰りに、スーパーへ立ち寄りましたが、 パン売り場は、空っぽ。 カップ麺コーナーでは、 我が家での定番とされるものは、全て売…

10月10日

あなたへ 今日は、朝から晴天で、 綺麗な空が見える1日でした。 空に浮かぶ雲を眺めながら、ふと、 20年以上前のこの日に、 結婚した先輩のことを思い出していました。 あれは、まだ、あなたと出会う前の頃のこと。 この辺りの方との結婚が決まり、他県から…

選んで生まれた人生

あなたへ ねぇ、あなた とても、重大なことに気が付いてしまったの なんて、深刻な顔で、話をしたのなら、 あなたきっと、笑うのでしょう。 え?今更? って。 あの子が、おじいちゃんになるまで生きてみたい それまで待っていてね こんな手紙を書いたのは、…

遠距離恋愛

あなたへ あなたを見送ってからの私は、 時々、とても不安になります。 あなたは、私と一緒にいて、本当に幸せだったのかな とか、 あなたは、もう、私のことなど、忘れてしまったのかな とか。 あなたのその気持ちを、 確かめる術がなくなってしまった私は…

コトバ -秋-2019

秋の色を 覚えていますか 秋の音を 覚えていますか 秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 一緒に過ごした3番目の秋 海辺で過ごした 2人の時間を覚えていますか あの日 あなたに伝えたのは ず…

2回目のプロポーズ

あなたへ あなたの夢を見ました。 それは、なんだか、とても不思議で、幸せな夢でした。 夢の中のあなたも、 確かにあの日、息を引き取ったけれど、 その亡骸は、家にあるの。 あの子と私は、 あの頃のままの、あなたのその姿が家にいることが、当たり前で、…

人生のミッション

あなたへ ミッションをクリアするために、 自らが、その人生を選び、生まれてくる そうして、 その人生を全うし、息を引き取ると同時に、 自分のミッションを思い出す こんな言葉を目にしたのは、先日のことでした。 あなたにとってのミッションとは、何でし…

瞼の裏に残る景色

あなたへ 前へと、歩むしかないことを知りながら、 時々ね、 ふと、あの頃に帰りたいと、強く願ってしまう私がいます。 目を閉じて、あの頃に想いを馳せながら、 次に目を開いた瞬間に、 あの頃に戻っていたらいいのになって、 そんなふうに願い、祈るような…