拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

逢いたい気持ち

あなたへ 例えば、髪の手入れをしている時、 例えば、テレビを観ている時。 何気ない日常生活の中で、 ふと、あなたに逢いたくなったことは、 これまでに、何度あったでしょうか。 あなたにお線香をあげて、手を合わせることには慣れたはずなのに、 それをあ…

コトバ -春- 2021

春の風を 覚えていますか 春の色を 覚えていますか 春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす爽やかな空気を その瞳に映る鮮やかさを 鼻を擽る甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした4番目の春 あの頃の景色を覚えていますか あなたと出会って4番目の春…

あなたが叱ってくれた夢

あなたへ あなたを見送ってからの私は、夢の中で、 どれだけの時間をあなたと一緒に過ごしただろう。 あの夏の続きのような日常生活を送る夢、 ただ、あなたに寄り添う夢、 家族3人で、旅行へ出掛けたり、 2人だけで、デートを楽しんだり。 あの夏からの私た…

私が淹れたコーヒー

あなたへ お母さん、知ってた? 俺ね、お母さんが淹れたコーヒーが好きなんだよ これは、先日のあの子の言葉です。 コーヒーが飲みたいけれど、自分で淹れるのは面倒。 こんな気持ちが見え見えなあの子の言葉に笑いながら、 コーヒーを淹れました。 誰が淹れ…

桜の香り

あなたへ 幾つかの桜の蕾が花開き、 可愛らしい姿を見せてくれていましたよ こんな手紙を書いたのは、先日のことでした。 ここ最近のこちらでは、暖かい日が続き、 桜の景色が美しい時期になってきました。 そうだ あなたにも、桜の香りを届けたいな 美しい…

父の友人

あなたへ コロナウイルスの観点から、父が亡くなったことは、 多くの人には知らせないままに、家族だけで、静かに見送りましたが、 きっと、人伝に、話が耳に入ったのでしょう。 先日、父の高校時代の同級生が、実家へ来て下さったようです。 父に手を合わせ…

飛行機雲

あなたへ 会社からの帰り道、何気なく見上げた空に、 飛行機を見つけました。 飛行機雲を見つけると、思い出すのは、 あなたを見送ってから5回目の、命日の日の出来事です。 あなたの命日は、たくさん泣いてもいい日。 毎年の命日には、あなたを想い、たくさ…

父の実家で集めたもの

あなたへ 先日、父の墓参りと、 空き家になってしまった父の実家の様子を見に行って来ました。 幼い頃から、何度も行ったことのある父の実家は、 私にとっては、何も珍しいことのない普通の古い家ですが、 幼い頃に、数回ほどしか行ったことのなかったあの子…

あなたへの贈り物

あなたへ いつものスーパーで、大幅な店内改装が行われたのは、先日のことでした。 棚の配置がガラリと変わり、 慣れるまでは、欲しい商品を探すのが少し大変ですが、 これまでには見かけなかった商品が並び、 なんだかとてもワクワクとする場所へと様変わり…

年を重ねる -2021-

あなたへ 無事にまたひとつ、年を重ねることが出来ました。 あなたよりも、3つ年上になりましたよ。 今日は、あなたを見送ってから、7回目の誕生日。 あなたの分まで頑張るよ 泣きながら、あなたへこんな報告をしたあの夏の私は、 ちゃんと、7つ目の年を重…

あなたより2歳年上の世界

あなたへ 人生、山あり谷あり なんて言葉があるけれど、 歩んで来た1年間を振り返ってみれば、山ばかりで、 谷なんて、どこにあったのだろうかと、 こんなことを考えていたのは、丁度1年前。 あなたよりも1歳年上の世界を生きた最後の日のことでした。 今日…

春休み

あなたへ 真新しいスーツを眺めては、 入学式を楽しみにしていたのは、昨年の春のあの子でした。 数回に渡り届いた、入学式延期の知らせと、 最終的に決まった入学式中止の知らせ。 コロナウイルスの影響により、 進学先へ、なかなか入学出来ないままに、 あ…

春の色

あなたへ ここ最近のこちらでは、とても暖かい日が続き、 気が付けば、目に入る景色も、 鮮やかな色へと変わって来ました。 白や黄色やピンク。 あちこちで開く花たちは、 静かに、春の訪れを教えてくれました。 春は良いですね。 眺めているだけで、なんだ…

誰にも言えなかった気持ち

あなたへ いつ生まれたのか、 はっきりとした記憶がないままに、 いつの頃からか、私の中には、 もう1人の小さな私がいました。 早く、おばあちゃんになりたい もっと早く、年を重ねて この人生なんて、早く終わってしまえば良い 私の中に生まれた小さな私は…

幼い頃の私が見たもの

あなたへ 先日の私が、インターネットで思わず読み入ってしまったのは、 怖い話でした。 先日のあなたへの手紙には、 あの子は異常なほどに怖がりだと、 こんなことを書きましたが、 実は私も、とても怖がりであることは、 あなたもよく知っていますね。 そ…

ダイヤルロック

あなたへ ねぇ、このダイヤルロックの番号って、何だっけ? 先日のこんなあの子の言葉から、思い出していたのは、 あの子が中学生だった頃の不思議な出来事でした。 あの子が宿泊学習へ出掛けたのは、 あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃のことだっ…

まだ見ぬ世界を楽しみに

あなたへ あなたと初めて出会った頃は、 既に、携帯電話やPHSが普及し、必要な時に、 誰とでも連絡が取れる状態にありました。 番号教えて? 今度連絡するね 初めて出会った日のこんなやり取りから、 私たちは、いつでも好きな時に連絡が取れるようになりま…

心霊スポットと呼ばれる場所

あなたへ 心霊スポットと呼ばれる場所には、きっと2種類あると、 いつの頃からか、私は、そんなふうに考えるようになりました。 そこで命を落とし、何らかの未練を残した方の魂がある場所、 それから、神様のような存在が宿る場所。 どちらにおいても、遊び…

コトバ -キラキラと光る風に乗せて-

爽やかに吹く風は 淡い色を持っていて キラキラと光り 風が吹く度に 開いては閉じる 小さな花たちは 開く度に色を変えるの 彼がいる世界は きっと そういう世界 風に乗せた私の想いは やがて キラキラと光る風へと引き継がれて 彼のところまで運ばれていくの…

おじさん写真

あなたへ お母さん、これ見て? 昨日のあの子が、唐突に、私に見せてくれたのは、 あの子が映った1枚の写真でした。 目の前にいるあの子とは、なんだか少し様子が違ったその写真は、 おじさんに加工されるアプリを使って撮影した写真なのだそうです。 これね…

黄色のチューリップ

あなたへ あなたが私に見せてくれた、 奇跡のような出来事を思い返しながら、 ふと思い出した黄色のチューリップの話を、 今日は、あなたにも話してみたくなりました。 これは、1匹の猫の話です。 縞々模様の子猫が、私の妹夫婦宅の庭へと迷い込んで来たのは…

確かな繋がり

あなたへ 先日の母の身に起こった出来事から、 あなたを見送ってからの私の身に起こった、 不思議な出来事の数々を思い返していました。 自分の力では、どうにもならないような、困ったことがあった時に、 私が、想像もしていなかったような良い方向へ、 ト…

父の夢とてんとう虫

あなたへ 父の夢を見ました。 父とあの子が、とても楽しそうに遊んでいる夢でした。 夢の中、軽快に歩いたり、飛び跳ねたり、 あの子と一緒に遊んでいた父は、本当に楽しそうでした。 体、大丈夫なの? 私のこんな言葉に、父は、笑って言いました。 大丈夫だ…

最後の手段 〜時を超えて〜

あなたへ テストで良い点が取れたら、 ご褒美に、お小遣いをあげるよ この制度を、最後の手段として我が家に導入したのは、 あの子が中学3年生の頃のことでした。 勉強は、自分のためにするものだという考えの私には、 この決断が、本当に正しいものであるの…

春手帳

あなたへ 私が、手帳を2冊使うようになったのは、2年前からのことでした。 1冊は、日々の出来事を綴る手帳。 そして、もう1冊は、 その時間に何をしたのかを把握するための、時間軸のある手帳。 夏が過ぎ、秋の景色へと変わる頃になると、 インターネットで…