拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

次に夢で逢えたら

あなたへ 夢の中の世界は、とても不思議ですね。 家に帰って来てくれたあなたへ、 おかえりなさい から始まる夢もあるけれど、 気が付けば、隣にあなたが側にいて、 あの夏の続きの時間を過ごしていたり、 知らない場所へ出掛けていたり。 家族3人で、 旅行…

あなたへ 今日のこちらでは、青い空が広がりましたが、 夕方から突然に、黒い雲に覆われ、強い雨が降りました。 叩きつけるような雨から、ほんの少しだけ、雨脚が弱くなると、 ワクワクとしながら、ベランダに出て、雨を落とす空を見上げました。 この後、絶…

じいちゃんの教え

あなたへ 間も無く、あの子の学校では、テスト期間が始まります。 課題に加えて、テスト勉強も始めたあの子ですが、 専門学生になった今でも、あの子は、父の教えを大切にしています。 遊びの合間に、勉強をすれば良いんだよ これは、高校受験を控えていた頃…

あなたがくれる不思議な時間

あなたへ お父さんの夢を見たよ 凄くリアルだった 朝、起きてきたあの子は、コーヒーを飲みながら目を覚ますと、 見たばかりの夢の中での出来事を、話して聞かせてくれました。 それは、あなたが、此処に帰って来てくれた夢でした。 夢の中、あなたから握手…

スーパームーンの皆既月食

あなたへ 昨夜は、スーパームーンの皆既月食だったそうです。 生憎、此処からは、その様子を見ることは出来ませんでしたが、 あなたのところからは、その様子を見ることは出来たでしょうか。 今回の皆既月食を日本で見ることが出来たのは、24年ぶりなのだそ…

死別からの立ち直り

あなたへ 死別からの立ち直り こんな言葉を目にしたのは、 いつのことだっただろう。 いつの日か、あなたの死から立ち直れたと思う日は来るのだろうかと、 ぼんやりと、こんなことを考えていたのは、 あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だったでし…

今のあなたが感じているもの

あなたへ 今のあなたには、 どんなものを感じることが出来るのだろう。 こんなことを考えたのは、いつのことだっただろう。 きっと今のあなたには、 私には感じることの出来ないものを、感じているんだろうなって。 例えば、この世界に生きる私たちは、 瞳に…

あの子にしか創ることの出来ない世界

あなたへ 最近のあの子は、連日に渡り、 設計の課題に取り組んでいます。 2年生になって、初めての設計の課題です。 1年生では、住宅の設計を勉強してきましたが、 2年生では、施設の設計を勉強するのだそうです。 設計の課題があるんだよね 今、いいこと思…

2015年の私から届いた贈り物

あなたへ 私たちの結婚式の、衣装を選びの日に撮った写真を眺めていました。 これは、2015年の私から、 次にこの手帳を開いた日の私への贈り物。 辛く苦しい記憶ばかりが残るあの年の手帳の文字は、 これまで、一度も辿れずにいましたが、 あの年の私も、ち…

あなたから託された想い

あなたへ あなたを見送ってからの私の中には、何度こうして、 あなたの言葉が浮かんできたでしょうか。 思い悩んだ時や、苦しい気持ちになった時、 何故だか、突然に、 私の中に仕舞われたあなたの言葉が飛び出して来て、 私に、そっと寄り添ってくれたり、…

2015年の私への約束

あなたへ あなたの分まで、 幸せな人生を歩まなければいけないよ これは、あなたを見送った翌年、 2015年の手帳に書かれていた、私の言葉です。 あの年の手帳を開き、あの頃の私が綴った文字を読み返したのは、 今回が初めてのことでした。 あの頃の、辛く苦…

記憶の中を歩くことが出来たのなら

あなたへ あなたを見送ってからの私の中に、 時間を掛けて蘇った記憶たちを思い出していました。 甘い缶コーヒーが好きだったあなたのことや、 シロップ漬けの甘いパイナップルが好きだったあなたのこと。 毎年のお盆には、 あなたの好きなものをたくさん準…

前髪 -2021-

あなたへ 前髪を切りました。 あなたが切ってくれていたみたいに、 上手に前髪を切ることが出来る様になってから、 どれくらいが経ったでしょうか。 何度、挑戦してみても、曲がってしまった幾つもの失敗から、 やがて、あなたみたいに、上手に切れた日を迎…

眠りに辿り着く方法 ~私のやり方~

あなたへ あの子が、すぐに眠りに辿り着く方法を取得したのは、 春休みも終わりを迎える頃のことでした。 あぁ、なんか意識が遠くなる 眠れそう こんな心の声を最後に、いつの間にか眠っているのだと、 こんな話を聞いた私は、 あの子が教えてくれた方法を、…

この瞳に映る色

あなたへ あの頃の私は、あの日、あなたと一緒に死んでしまったのだ。 そう気が付いたのは、 あなたを見送ってから、5年が経った頃のことでした。 単純で、明るくて、 深い悲しみも、苦しみも知らなかったあの頃の私は、 死んでしまったのだと気が付いた瞬間…

あなたへ あなたと出会った日のことを思い出していました。 この人だ やっと逢えたって、 何の根拠もないままに、強く確信したあの日の気持ちを、 思い返していました。 あの日のことは、運命であったと、そう位置付けたままで、 これまで、深く考えたことは…

この世界に生まれて来た理由

あなたへ この子は、毎日、 どんなに私を幸せな気持ちにさせてくれているのか、 きっと、気付いていないんだろうな。 これは、あの子との雑談に笑いながら、ふと、感じた私の気持ちです。 あの子が笑っているだけで、 あの子との何気ない時間を過ごせるだけ…

あなたが見てみたかった景色を思い描いて

あなたへ もしも、あなたが、 この年齢を生きることが出来たとしたのなら、 此処に立つあなたの瞳には、 どんなものが映っていたのだろう。 あなたよりも、1歳年上の世界で、 あなたよりも、2歳年上の世界で、 あなたが見るはずだった景色を思い描きました。…

遺影に手を伸ばす瞬間

あなたへ あなたのその髪に、 その頬に、 触れられるような気がして、 そっと、遺影に手を伸ばしてみました。 とてもゆっくりと、静かに手を伸ばしたら、 もう一度だけ、あなたに触れられるような気がして。 こんなふうに、そっと静かに、 あなたの遺影に手…

食品サンプル

あなたへ あの子との雑談の中、 飲食店の入り口に飾ってある食品サンプルの話になったのは、 先日のことでした。 あれってさ、見本なんでしょ? 実際に運ばれてきたものが、少し見本と違うこともあるんだよね? あの子のこんな言葉に思い出していたのは、私…

コトバ -あの春のキミ送るエール-

あれから5年が経ったんだ あれからの毎年 この時期になると あの日のことを思い出す 恐らく あの日の私は この人生の中で唯一 死に近い場所にいたのだろう 今振り返ってみても この人生の中で あれほどに 私が私でなくなってしまった日を知らない あの時 少…

私を支えてくれた人

あなたへ 私の知り合いにね 突然、心臓を患って、生死を彷徨った人がいるのよ こんな話を聞かせてくれたのは、 かつて、一緒に働いていた職場の先輩でした。 一時は生死を彷徨った彼の心臓へは機械が入り、 それがきっかけとなって、 長く勤めてきた会社を退…

菖蒲湯

あなたへ あれ?今日は、菖蒲湯に入る日らしいよ 間も無くお風呂へ入る時間になってから、 インターネットで見つけた写真を眺めながら、 こどもの日には、菖蒲湯に入るのだということに気が付いたのは、昨夜の私。 ごめんね お母さん、こういう風習には、あ…

ゴールデンウィーク -2021-

あなたへ 今日は、ゴールデンウィークの最終日です。 今年の私たちも、 ほぼ、家の中で、静かな連休を過ごしました。 進学先へ、なかなか入学することが出来ずに、 不安そうな顔をしていたのは、昨年のあの子。 昨年のゴールデンウィークには、 あの子をたく…

バイクのチェーンの交換の仕方

あなたへ 車の免許を取り、 一度は車に置かれたウエイトですが、 近頃のあの子には、再び、バイクブームが到来したようです。 少し、友達と走ってくるね 以前のように、こんな声が聞こえるようになりました。 皆と合流し、バイクで走ったら帰ってくる。 人と…

あなたの遺骨と向き合いながら

あなたへ あの夏からの私は、 あなたの骨壺の入った箱を眺めては、時々、考えていました。 此処に、あなたが生きた証があるのなら、 将来、この遺骨を使って、 あなたのクローン人間を作ることが出来るのかな なんて。 その声を、その温かさを、 もう一度、…

掃除機の思い出

あなたへ はいはい そこ、退いてください 掃除機をかけているにも関わらず、 しぶとく寝転がり続けるあの子の背中に、掃除機をかけました。 これは、最終手段です。 あの子がいる場所を避けて、 各部屋に掃除機をかけてから戻ってみても、 まだ同じ姿勢で寝…