拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2021-01-01から1年間の記事一覧

あの場所の続きの景色

あなたへ いつか、あの場所に行ってみたい ひとりで散歩に出掛けるようになった私が、 やがて、こんなことを考えるようになったのは、いつのことだっただろう。 あの場所。 それは、いつかのあなたが連れて行ってくれた場所です。 あなたは、覚えていますか…

愛しみながら

あなたへ あなたにお線香を上げて、手を合わせること 返事をくれないことを知りながら、遺影に向かって、声を掛けること そして、 少しも減らないあなたのマグカップの中身を捨てて、 新しいコーヒーを淹れ直すこと 日常の中に溶け込んだこれらのひとつひと…

あの子の成長を振り返りながら

あなたへ あんな時もあったな こんな時もあったなって、 あの子の成長を、ゆっくりと振り返りながら、 そこにいるあなたの姿が、鮮明に蘇りました。 それは、 あの子が生まれた日から、毎日、毎日、 あの子の頬を、そして、あの子の髪を撫でては、 優しく微…

朝のお散歩

あなたへ 今朝の私は、急に思い立って、お散歩に出掛けました。 とは言っても、あまり時間がなかったために、 お散歩というよりは、ウォーキングに近いものがあったようにも思います。 今日のこちらでは、少し風が強く、 外に出ると、肌寒さを感じましたが、…

あなたと過ごした長い夜

あなたへ もう少しだけ、あなたの側にいられたら。 あなたと過ごした夢から覚めた私が、 もう一度、目を閉じたのは、昨夜のことでした。 覚めてしまった夢の続きを見ることは出来なかったけれど、 もうひとつ、別な時間を一緒に過ごすことが出来たのは、 あ…

万が一の場合の集合場所

あなたへ もしも、地震などの災害で、家の中に入れないような状態の時は、 この公園に集まろうね いつ起こるか分からない災害に備えて、 家族3人が別々なところにいた場合には、 どう行動すれば良いのかを話し合ったのは、10年前のことでした。 あの頃の私た…

今と昔の違いを語るあの子の声に

あなたへ 昔はさぁ こうだったけれど、 今は昔とは違うよね 時代の流れや進化を眺めながら、私が知っている昔を言葉にする前に、 時代の流れについてを語るのは、その時代を見たことがないはずのあの子です。 いつの頃からか、昭和時代に興味を持ち、 気が付…

大切にしてくれていた味

あなたへ そっか あなたはきっと、 私が淹れるコーヒーの味を、とても大切にしてくれていたんだね コーヒーを淹れながら、ふと、 あの頃のあなたの胸の奥にある気持ちが見えた気がして、 温かな気持ちになりました。 夕方のあの子と私が、 甘い味に整えられ…

冬支度

あなたへ 10月であるにも関わらず、暑い日が多く、 なんだか時々、今が10月であることを忘れてしまいそうですと、 こんな手紙を書いたのは、先日のことでしたが、 あれから間もなくから、急に気温が下がり、 とても寒く感じられる日も多くなってきました。 …

コトバ -秋- 2021

秋の色を覚えていますか 秋の音を覚えていますか 秋の風を覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 一緒に過ごした5番目の秋 3人で見た最初の秋を覚えていますか 爽やかな風と秋に染まる景色 ベビーカー…

オセロの必勝法

あなたへ 先日から、あの子の学校への登校が少しずつ始まりました。 休み時間には、久しぶりに会えた友人と、 オセロをして遊んだそうですよ。 俺はね、オセロは誰にも負けない自信があるんだ これまでも、誰にも負けたことがないしね 自信満々に、こんな話…

夢と現実の間で見つけたもの

あなたへ あなたは、こんなにすぐ近くにいたんだね 間も無く、眠りに就けそうな、 けれど、完全な眠りまでには、ほんの少しの距離がある。 こんな夢と現実の隙間に、僅かな意識を巡らせた私が感じたのは、 すぐ側にいるあなたの温もりでした。 眠りの入り口…

みんな昔は子供だった

あなたへ 大人って言ってもさ みんな昔は子供だったんだね これは、先日のあの子の言葉です。 先日の私がふと思い出したのは、 いつかのあなたが話して聞かせてくれた、あなたの幼少期の頃の話でした。 お父さんが小さい頃はね こんな私の声に、興味深げに頷…

秋の香りをあなたにも

あなたへ こちらでは、10月に入り、間も無く半ばを迎えますが、 今年の10月は、とても暑い日が多いように感じます。 この時期に、半袖で過ごした方が心地が良いだなんて、 なんだかとても不思議ですが、 今年は、一度過ぎ去ったはずの夏が、 忘れものを取り…

オンラインでの人との関わり方

あなたへ 思えば、私たちは今、 あの頃には、考えられなかったものを見ているんだな 改めて、今の私たちにとって、とても身近になった、 オンラインでの人との関わり方についてを考えていました。 あの子のオンライン授業を、物珍しく覗き込んだのは、昨年の…

私の家族

あなたへ 私の家族って、本当に素敵だな。 今日の私は、こんな温かな気持ちで、空を見上げていました。 あぁ、もう!嫌だよ 全部、嫌だ! 盛大に弱音をぶちまけた私の言葉を、ただ黙って聞いてくれたのは、 いつの頃のあなただったでしょうか。 自信を失くし…

得体の知れない音の再来

あなたへ ねぇ、あなた。 またあの音が聞こえました。 ある日突然に聞こえた、得体の知れない音についての手紙を書いたのは、 先月のことでしたが、 再びあの音が聞こえ出したのは、数日前のことでした。 前回は、玄関から始まった得体の知れない音でしたが…

9月終わりの日

あなたへ 今月は、嘘みたいなことが重なる時期なのかも知れませんね。 あなたへこんな手紙を書いたのは、 今月が始まったばかりの頃のことでした。 今度は、どんな嘘みたいな出来事に出会えるのだろうかと、 ワクワクとした気持ちで過ごしたこの9月には、 思…

3つのマグカップ

あなたへ ただいま 今日も無事に、1日を過ごすことが出来たよ 仕事から帰宅すると、あなたに手を合わせながら、先ずは、1日の報告を。 それから、あなたと私、2人分のコーヒーを準備するのが、 私のいつもの夕方の過ごし方でしたが、 思えば、ここ暫くの夕…

絵を描きに行った記憶

あなたへ 俺が小さかった頃、3人で絵を描きに行ったよね これは、昨夜のあの子の声。 色鉛筆を使う課題に向き合いながら、 あの子は、家族3人で絵を描きに行ったことを思い出していたようでした。 スケッチブックとお弁当を持って、絵を描きに出掛けるように…

お墓参りと2匹のトンボ

あなたへ あの子と一緒に、父のお墓参りに行って来ました。 道中では、あの子との他愛もないお喋りに笑ったり、 素敵な空を見つけたり。 この辺りでは見ることの出来ない景色をたくさん楽しみました。 道端に咲いていた、たくさんの彼岸花は、 特に印象に残…

あの子の新しい目覚め

あなたへ 洋画って、いいよね 仕事から帰った私に、その日観た映画についてを話してくれたのは、 夏休みに入った頃のあの子でした。 我が家のテレビのレコーダーには、あの頃のまま、 あなたが撮り溜めていた映画が、たくさん残っています。 これまでは、あ…

得体の知れない音

あなたへ 夜中にさ、 ずっと虫の鳴き声みたいなのが聞こえてて、眠れなかったよ これは、数日前のあの子の言葉です。 私には、全くそんな音は聞こえませんでしたが、 あの子の部屋のすぐ近くで、その音は鳴ったり止んだりと繰り返し、 その音が気になって、…

虹の絵

あなたへ あの子のバイクのパーツを置く場所も確保出来たことだし。 こんな晴れやかな気持ちで、 今日の私は、ゆっくりと絵を描きました。 実は、先日から描いてみたいと思っていた絵がありました。 虹の絵です。 あなたは、首を傾げて言うのでしょうか。 え…

あの子の夢を叶えるお手伝い

あなたへ 今日だけ、ここに置いてもいいかな 中古のバイクのパーツを集めては、 ひとつひとつ、丁寧に磨きながら、色を塗る作業を続けているあの子ですが、 色を塗りたてのパーツを、今日だけ家族の部屋に置きたいと、 こんな声が聞こえたのは、先日のことで…

幸せな夢から覚めた日の朝

あなたへ 夢から覚めた私が、 大きく落胆したのは、これで何度目でしょうか。 意識がないままに、長い間、眠り続けていたあなたが、 突然に目を覚ました夢を見ました。 目を覚ましてくれたあなたと一緒に、 これからどんな景色を見ることが出来るのだろうか…

家にいる男のアレ

あなたへ 今日の私は、大荷物を持って帰宅しました。 あの子からのリクエストであるカップ麺をたくさん買って来たのです。 オンライン授業から始まったあの子の新学期ですが、 この期間のあの子は、勉強をしながら、同時に、 バイクの組み立てに向けて、 部…

すり替わった考えごと

あなたへ 1日だけ、アルバイトやってみない? 不意に、あなたのこんな声が蘇ったのは、先日のことでした。 あれは、この人生の中で一度だけ、あなたと一緒に仕事をした思い出。 改めて、あの日のことを思い返してみると、ひとつ、気が付いたことがありました…

分解してみよう

あなたへ これ、使えないかも知れない バイクの部品のひとつを眺めながら、難しい顔をしていたのは、先日のあの子。 どこがどうなっているのかは、分からないけれど、 本来であれば、回らなければならない箇所が、何故か回らずに、 苦戦していた様子のあの子…

大きな愛に包まれて

あなたへ ねぇ、あなた。 いつもありがとう。 突然にこんなことを言ったら、あなたは、どんな顔で笑うのだろう。 突然どうしたの?って。 夜、眠る前にね、ふと思ったの。 今、こうしている瞬間にも、きっとあなたは、 私たちが安心して眠ることが出来るよう…