拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2022-01-01から1年間の記事一覧

コトバ -秋- 2022

秋の色を 覚えていますか 秋の音を 覚えていますか 秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 幾つかの秋を知った 小さなあの子を真ん中に 3人で見つけた 秋の景色を覚えていますか 何処までも続…

暗闇の車内の中で

あなたへ あの子の車が車上荒らしの被害に遭い、 私に戻ってきたのは、専属運転手の日々。 主に、私の出番となるのは、あの子のアルバイト先への送迎です。 あの子を乗せてアルバイト先へ向かう時間は、楽しくお喋りを。 そうして、 あの子を降ろした帰り道…

車上荒らしに遭って感じたこと

あなたへ 俺の車が荒らされてる こんな言葉に驚いて、 急いであの子のところへ向かったのは、先日のことでした。 あの日は、朝からアルバイトの予定だったあの子。 いってらっしゃい 行ってきます 玄関で、いつも通りの挨拶をして送り出してから間も無くに、…

虹色の光を見つめながら

あなたへ わぁ、綺麗! ねぇ、あなた 見て? こんな私の声は、あなたの所まで届いたでしょうか。 先日の私が家族の部屋で見つけたのは、 窓際に置かれたあの子の定規に太陽の光が当たって、 床に出来た虹色の光でした。 それとも、 虹色の光が出来た時に、実…

虫との遭遇という視点から

あなたへ 夏は大好きだけれど、 夏の公園も、夏の自然の中も、勿論、好きだけれど、虫は苦手。 自然に囲まれた静かな場所へと好んで散歩に出掛けながらも、 虫がいないかと、ドキドキしてしまうのもまた事実。 だってほら、特に自然の中にいる彼らって、存在…

あなたと過ごした16年間に詰まった時間

あなたへ さぁ、おじいさん、食事の時間ですよ ふざけてこんなことを言いながら、あなたの口へヨーグルトを運んだのは、 私たちが出会ってから、どのくらいが経った頃だったでしょうか。 あの時のあなたは、 あぁ、いつもすまないねぇなんて言いながら、 弱…

不思議な雲の形

あなたへ 眠る前に、あの公園で撮った写真を眺めながら、 そこに顔のような形の雲を見つけたのは、昨夜の私です。 あれ?この雲、なんだろうって、 ある一部分が急に気になって、拡大して見てみると、 そこが顔のように見えてしまったのです。 拡大したり、…

19年後のあの場所で

あなたへ あの日、3人で一緒に見た空を覚えていますか。 カメラの画面越し、 あの頃のあなたの瞳に映った私たちの笑顔を覚えていますか。 19年前の丁度、今日。 9月29日に撮った数枚の写真を見つけました。 暑いなって、 今にもこんなあなたの声が聞こえてき…

あの子の手

あなたへ お母さん見て? 俺の手、お父さんの手に凄く似てる こう言って、自分の手をまじまじと見つめていたのは、先日のあの子です。 手が大きくて、甲の感じはあなたに似ているけれど、指は、私似。 こんな感じで成長し続けてきたあの子ですが、 あの子と…

私たちの季節の感じ方

あなたへ ねぇ、あなた アイスコーヒーがいい?それともホット? 思わずあなたにこう声を掛けたのは、先日のことでした。 こちらでは、気が付けば随分と日が短くなって、 朝晩には、肌寒さを感じるようになりました。 この時期に迷うのは、あなたへのコーヒ…

キーパーソン

あなたへ どう生きたい? これまでの私は、 何度こんなふうに自分に問い掛けてきただろう。 私にとってのこの問い掛けは、今や当たり前のものとなりましたが、 思えば、こう問い掛けるようになったのは、 前職で共に働いていた先輩の存在がきっかけでした。 …

朝の戦いへと挑みながら

あなたへ どんなに筋肉を褒めてみても、 宥めてみても、 励ましてみても、 何をしても、なかなか目を覚まさないのは、ここ最近の朝のあの子です。 起きて?朝だよ あの子を揺すって、何度も声を掛ければ、 漸く聞こえてくるのは、あの子の小さな声。 そこに…

ヘアアイロン

あなたへ えー?またですか?嘘でしょ? 一旦は、気のせいだと思い込むことにしてみたものの、 やはり気のせいではなかったことを認めなければならなかったのは、 ヘアアイロンの調子の悪さです。 遠赤外線搭載なるヘアアイロンに嬉々としながら、 あなたへ…

初めて見た景色

あなたへ もう、この夢を手放さない。 あなたへの手紙を書きながら、 一度手放してしまった夢を、もう一度、 しっかりと抱き締めた日のことを思い出していました。 あれからの私は、小さな一歩を積み重ねながら、 ゆっくりと歩みを進めてきました。 私の歩み…

季節の匂い

あなたへ 春の爽やか風の匂い 夏の熱が溶け込んだ空気の匂い 秋の涼しい風の匂い 冬の澄んだ空気の匂い かつては当たり前の日常の中の一部だったはずの季節の匂いに、 愛おしい気持ちを抱くようになったのは、いつからだっただろう。 そこに季節の花など咲い…

7歳だったあの子が見ていた景色

あなたへ 先日のあの子が突然に、押し入れから引っ張り出してきたのは、 あの子が小学生の頃に使っていたゲーム機でした。 勉強に筋トレと、日々、忙しく過ごしているあの子ですが、 たまには息抜きにと、 突然、あの頃のゲームをしてみたくなったのだそう。…

最期に思い出すこと

あなたへ 私がこの世界を去る最期の瞬間は、 どんな景色を見ているのだろう。 私は最期に、何を思い出すのだろう。 最期に、何を思い出したいのだろう。 あなたを見送ってからの私は、 何度、自分にこんな問いかけをしただろう。 最期に思い出すのは、 大切…

運命の再会みたいな夢

あなたへ 迎えに来て あなたからのこんな電話を貰う夢を見ました。 夢の中の私は、あなたがどこにいるのかを知っていて、 急いであなたを迎えに行ったの。 私が向かった先には、たくさんの人がいたけれど、 すぐにあなたを見つけました。 だって、私には、あ…

愛しみの味

あなたへ あの味を再び感じたのは、 8回目のあなたの命日を迎えた日のことでした。 あなたを想いながら、 泣いて、 泣いて、 どんなに涙を零しても、 続く大粒の涙が頬を伝う感覚だけをただ感じて、 空を見上げていたあの日。 たくさん泣いて、ほんの少しだ…

前髪 -2022-

あなたへ 随分、前髪が伸びてしまっていたことに気が付いて、 自分で前髪を切りながら、 前にもこんなことがあったなと考えていたのは先日のことでした。 あれは、いつの頃だっただろう。 あなたにただ逢いたくて、 空を見上げては、 そして、 何処かにあな…

ちょっと恥ずかしかった出来事

あなたへ 車を運転しながら、ふと思い出して、笑ってしまったのは、 私が失敗してしまった、ちょっと恥ずかしかった出来事。 あれは、平日の昼間に、車に乗って外出をした日のことでした。 向こう側から走ってくる対向車を、思わずじっと見つめてしまったの…

私が見つけた鎧

あなたへ ねぇ、あなたは気付いていましたか。 私ね、あなたを見送ってから、ファンデーションを変えたの。 なんとなく、変えてみようと思い立ったのは、 あなたを見送ってから、どれくらいが経ってからだっただろう。 このファンデーションに変えた時には、…

泣き虫のままでいい

あなたへ 私は、いつから、 こんなに泣き虫になってしまったのだろう。 あの夏から、ほんの少しずつ、 強さを身に付けてきたはずだったのに、 昨日の私も、一昨日の私も、先一昨日の私も、 そして、 先月の私も、先々月の私も、 書きかけたあなたへの手紙を…

お盆の思い出

あなたへ もう、そちら側へは着いたでしょうか。 今年のお盆も、とても楽しかったですね。 あの子、昨年よりも随分、逞しくなったでしょう? 鏡の前でポーズを決めて、 筋肉の確認をするあの子の姿も見ていたでしょうか。 その姿が見えないままに、ふと、私…

コトバ -お盆様-

お盆の最終日の早朝に ご先祖様を送りに行っていた祖母の姿を ふと思い出した お盆様は朝早くに帰るんだよ 幼い頃に 祖母が話して聞かせてくれた あの言葉は きっと本物なのだろう 早くに伴侶を亡くした祖母も 毎年 肌で感じていたのかも知れない 愛する人が…

コトバ -家族3人の時間-

おかえりなさい 待っていたよ コーヒー淹れるね 一緒に飲もうよ そうだ 冷凍庫にアイスクリームが入っているよ もう食べた? あの子 大きくなったでしょ? 筋トレ頑張っているんだよ それから勉強も とても頑張っているよ 今日は何が食べたい? ねぇ 一緒に…

お盆 -2022-

あなたへ 今頃のあなたは、 出発の準備を整えているところでしょうか。 それとも、もう、 そちら側を出発した頃でしょうか。 今日の私は、あなたをお迎えする準備を整えながら、 あなたのことばかりを考えていました。 今頃のあなたは、何をしているのかなっ…

あなたを想う日 -2022-

あなたへ 今日のあなたは、どんなことを想っていましたか。 今日の私は、 あの日のあなたが私にくれた温もりを感じていました。 あの日と同じように、 この手を握り締めて、手の内側に感じたあなたの温かな温度を、 ただ、感じていました。 あの日から、8年…

コトバ -夏の音-2022

待ってたよ 思わず呟いたのは 梅雨明けから どれくらいが経ってからだっただろう 今年の梅雨明けは例年よりも早く 思えば 静かな夏の始まりだった 待ち侘びた夏の音を聴きながら 彼がいた夏の記憶を順に辿ってみる 私を呼ぶ彼の声 繋いだ手の温もり まだ膨ら…

筋肉を褒める時間

あなたへ さぁ!一緒に俺の筋肉を育てましょう! こんなあの子の声が聞こえてから、 どれくらいが経ったでしょうか。 ハイスピードで減る米の量。 たくさん買ってきたはずなのに、すぐに空になる冷蔵庫の中身。 少しだけ頑張って増やしてきたあの子の食事量…