コトバ
クリスマスパーティーの準備を整えながら 部屋中を見回してみる もしも運命が違っていたら 今日の此処には どんな時間が流れていたのだろうかって あれから7回目のクリスマスパーティー 思えば あの頃よりも 随分 形が変わったな 住む場所が変わり あの子の…
秋の色を覚えていますか 秋の音を覚えていますか 秋の風を覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 一緒に過ごした4番目の秋 ふたりだけで見た 最後の秋を覚えていますか 産婦人科でもらった あの子のエ…
私は とても幸せな時間を知っている 好きな人が出来たの 友人にそう報告する直前の 胸の奥が擽ったい瞬間を知っている 好きな人からの連絡を待つ時間は なんだかソワソワと落ち着かなくて 着信音が聞こえた時には ほんの少しだけ胸の奥がキュッてなる そんな…
7 6 5 4 3 2 1 0 これは誰にも話したことのない 8月8日で止まるカウントダウン 私の中に このカウンターが設置されたのは 彼が亡くなった翌年のことだった カウントダウンが始まると 私にまとわりつく夏の暑さに 息が出来なくなるような苦しさを覚える 目の…
今年もまた夏が来たよ 待ちわびた青空を見上げながら 空の彼方にいる彼に 夏の始まりを報告する 梅雨明けの太陽が やけに眩しく感じたのは ずっと 雨や曇り空ばかりを眺めていたせいだろうか 夏の音を聞きながら 目を閉じると 彼と出会った最初の夏から順番…
彼が此処にいないなんて嘘だよ 目を閉じれば 必ずそこにいてくれる彼に 必死で手を伸ばしたことは これまでに何度あっただろう 瞼の向こう側にいる彼が 消えてしまわないようにと ギュッと目を閉じたことは これまでに何度あっただろう 次に目を開いた瞬間に…
初夏の爽やかな風が頬を撫でる 間も無くやって来る夏の季節に 心が躍る 今年はどんな夏になるのだろう ただただ 夏が待ち遠しくて 初夏の爽やかな風を感じるこの季節になると 意味もなくワクワクとした気持ちでいっぱいだったのは あの夏を迎えるまでだった …
春の風を 覚えていますか 春の色を 覚えていますか 春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす爽やかな空気を その瞳に映る鮮やかさを 鼻を擽る甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした三番目の春 あの頃のふたりを覚えていますか 同じ将来を思い描いたあ…
「彼がいない寂しさは 少しずつ 薄れていくものなのかなって思っていたよ それなのに いつまで経っても 寂しさは消えないんだ」 『うん』 「笑っていてもね フッて彼の顔が浮かんで寂しくなるの この楽しい気持ちを 彼と共有することは もう出来ないんだなっ…
例えば あの時とかあの時 それから あの時も 彼を見送ってからの私には 度々不思議な出来事が起こった それらのほんの一部だけを 言葉に表現しながらも その殆どは この胸の中へと納めたまま 誰にも話してはいない いや 話すことも文字にすることも出来なか…
冬の色を 覚えていますか 冬の音を 覚えていますか 冬の匂いを 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 冬の澄んだ空気の匂いを 覚えていますか 一緒に過ごした三番目の冬 出会ってからの月日を見つめながら 同じ未来を思い描いた あの日のふ…
大変でしたね 辛い思いをしましたね 今はたくさん泣いていいと思います 我慢なんて必要ありません 空を見上げながら 名も知らない方へ問いかけてみる 食事はとっていますか 眠れていますか 夜は冷えるので暖かくして下さいね その気持ち よく分かりますだな…
秋の色を 覚えていますか 秋の音を 覚えていますか 秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 一緒に過ごした3番目の秋 海辺で過ごした 2人の時間を覚えていますか あの日 あなたに伝えたのは ず…
私が 貴女を始めて お母さんと呼んだ日を 知っていますか あれは彼の告別式を終え 間もなくのことでしたね 庭の畑 貴女が大切に育てた野菜を 一緒に収穫しながら まるで世間話でもするかのように 不意に言ってくれたのでした あなたは嫁ではなく娘だからね …
彼を見送ってから 5年と1ヶ月ほどが経った 彼を想いながら生きてきた この5年間という月日を振り返りながら 私は初めて 長かったと感じた 彼を見送ってからの月日に対して こんなふうに 何かを感じるのは初めてのことだ 相変わらず この月日を もう と表現す…
あなたは私の中の何処かに隠れて 眠っているんだと思っていたよ 何処に隠れているのだろうって ずっと探していたよ でも もう私の中に あなたはいなかったんだね あなたはあの日 誰にも知られないまま 彼と一緒に死んでしまったんだね この5年間 そのことに…
私は時々 この人生の中で 最も辛かった記憶へと引き戻される 彼の心拍数が下がっていることを知らせる音 目の前で蘇生される彼の姿 泣きながら彼の名前を叫ぶ自分の声 部屋から出され 間も無くに聞こえた電気ショックを施す音 まだ一緒にいたいよ 壁のこちら…
ねぇ あなたはどんなふうに生きたい? 鏡の向こう側 突然の問いかけに戸惑いながら 私は答えた どんな生き方が出来るのだろう 私には何が出来るのだろう と は?何言ってるの? 何が出来るか じゃなくて どう生きたいかって聞いたのよ 鏡の向こう側 私と同じ…
例えば 焼きそば 茹でうどん 冷やし中華 豆腐 納豆 それから プリン ゼリー ヨーグルト スーパーで買い物をしながら 3個で1セットのものが多いように感じたのは いつのことだっただろう 1セットで家族3人分 それは我が家にとって 丁度良い数だった 私の買い…
この温もりを感じるようになったのは いつからだろう また今日も 右手をそっと握り締めて ただ静かに そこにある空気を捕まえたよ 彼を想い 不意に心が痛くなった時 ここにいるよ とでも言いたげに 右手がふわりと温かくなるんだ それはあの日 握り返しては…
毎年のお盆に 彼の実家の地域で行われる花火大会に出掛けるようになったのは あの子が生まれ どれくらいが経った頃からだっただろうか 彼の家族と皆で一緒に花火を観に行くことが いつの頃からか恒例の行事となっていた 彼が息を引き取ったあの年も 彼の家族…
おかえりなさい 今日の日をとても楽しみにしていたよ もしも今 目の前にあなたの姿が見えたのなら 本物かどうかを確かめるように きっと私は 何度もその頬に触れてしまうのでしょう そんな私のされるがままになりながら あなたは そろそろ気が済んだ?なんて…
今年もまた夏が来たよ 照りつける太陽に目を細めながら 空の彼方へ 夏が来たことを知らせてみる 今年の梅雨明けは 例年よりも遅かったらしいよ 気が付いたら7月が終わっててさ もう8月だって 待ちわびた夏の音を聞きながら目を閉じると 彼と出会った最初の夏…
ふと周りを見渡して 寂しくなる こんな瞬間は あの日から 何度 経験したのだろう 4年と10か月前 私の側には 沢山の痕跡があった 彼が息を引き取り 家に帰ったあの日の気持ちは 今でも忘れられない つい最近まで 家族3人で暮らしていた痕跡 彼のお茶碗 お箸 …
もしもあの時 少しだけ運命が違っていたら 私は今 何をしていたでしょうか その温かな手を握りしめて 私はあなたに 何を伝えたでしょうか もしもあの時 少しだけ運命が違っていたら あなたは今 此処で何をしていたでしょうか あなたのすぐ側で 私は何を学び …
春の風を 覚えていますか 春の色を 覚えていますか 春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす 爽やかな空気を その瞳に映る 鮮やかさを 鼻を擽る 甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした二番目の春 初めて訪れた土地 一緒に見た初めての景色 あの日の空…
昼間のやわらかな陽ざしが 暖かくて気持ちがいい 春を感じられる陽気になってきたね 彼を送り出して 2回目の春を迎えるキミは今ごろ ただ目の前にある試練と必死に戦っているところだね 今のキミはまだ もうすぐあの日を迎えることを 知らずにいるんだ 晴れ…
冬の色を 覚えていますか 冬の音を 覚えていますか 冬の匂いを 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 冬の澄んだ空気の匂いを 覚えていますか 一緒に過ごした二番目の冬 暗い夜道に逸れてしまわぬようにと 強く繋いだ心の距離 ふたりだけの…
どうかこのまま真っ直ぐ前へと進めますように 時々 壊れそうになるこの心ができるだけ穏やかでいられますように 彼が行きたかった場所へ無事に辿り着くことが出来ますように 私は1日1日を大切に過ごせているでしょうか 目標に沿った生き方が出来ているでしょ…
あれもこれもしてあげることができて良かった私は時々そんなふうに考える 大切なご家族を亡くされ憔悴しきった先輩色々と後悔していることがあってねそんな話を聞かせてくれた その気持ちに同調しながら私は話したんだ あれもこれもしてあげることができて良…