あなたへ
あなたをそちら側へ送り出して、しばらく経った頃でしょうか。
最近、爪の手入れしないんだね って、
あの子に言われました。
思えば、あの頃から、
爪の手入れも肌の手入れもろくにせず、
私は、常に何かに追われ、焦ってばかりで、
そんな事を考える余裕もなかったように思います。
あなたの綺麗な妻でいたい。
そんな気持ちまで、何処かに置いてきてしまった事に気が付きました。
あなたが今の私を見たら、ガッカリするかも知れませんね。
反省しています。
私は、あなたの分まで、こちらであの子の成長を見守りたいと思います。
あの子が、どんな事を学び、どんな道を選ぶのか、
時には躓く事もあるでしょう。
そんな時は、 良き相談相手になれたらって思います。
あの子が転んで立ち上がれなくなったら、
一緒に座って、話をしたいと思います。
あの子が立ち上がれる時がきたら、
その背中に、「大丈夫。あなたは1人じゃないよ」 って、
声をかけて、
そっと背中を押したいと思います。
そうして大人になって、いつか、
あの子が自分の居場所をみつけたら、
私も安心して、そちらに逝けると思います。
だから、私がそちらに逝く頃には、おばあちゃんになってるかも。
ねぇ あなた
私が、この人生を全うしたら、
きっと迎えに来てくださいね。
その時、あなたに笑われないように、
いつまでも、綺麗でいる努力をしようと思います。
だから、いたずら顔で、誰? なんて言わないでくださいね。