あなたへ
あなたと2人で毎日、コーヒーを飲みましたね。
朝のコーヒーは、慌ただしく、
夜は、仕事から帰ったあなたにお疲れ様の一杯を。
あの子が寝た後は、一緒にコーヒーを飲みながら、
映画を観たり、おしゃべりをしたり、
そんな夜をいくつも過ごしましたね。
お酒を飲まなかったあなたは、
いつも甘いコーヒーを飲みたがりました。
コーヒーばかりじゃ体に良くないからと、
時々お茶を淹れると、
渋々ながら、飲んでくれたあなたの顔が可笑しかった。
あなたをそちら側へ送り出して、
1人ぼっちのコーヒータイムは、
何だか、とても寂しかったので、
目を閉じて、向かい側にあなたが座っている事を想像してみました。
その日の出来事を話してくれた顔、
喉が渇いたと一気にコーヒーを飲み干し、
空になったマグカップを覗き込みながら、
「あれ?コーヒー入ってないんだけど、淹れてくれた?」
なんて、笑いながら、
私に二杯目のコーヒーを催促する顔。
そうして、
あなたは確かに側にいたのだと確認して、
ゆっくりと目を開けて、コーヒーを飲みます。
そんな1人ぼっちのコーヒーの味は時々、塩辛かった。
あれから、しばらくが経った頃からでしょうか。
苦いから なんて、コーヒーには見向きもしなかったあの子が、
毎朝、コーヒーを飲んで出掛けるようになりました。
また一緒に、コーヒーを飲む相手が出来ましたよ。
あの子、大きくなったでしょう?
また一歩、大人に近づいたんだなって、あの子の成長を感じます。
あの子のどんな小さな成長も見逃すまいと、あなたとふたりで、
ずっと、見守って来ましたね。
だから、どんな小さな事でも、
あなたに報告したいと思っています。
追伸
私が淹れたコーヒーがいいと、
市販のコーヒーは、あまり飲まなかったあなた。
もちろん、毎日、あなたのためにコーヒーを淹れてお供えしてますよ。
ちゃんと、届いてますか?