あなたへ
私には、ひとつだけ、
密かに叶えたかった夢がありました。
あなたと私、2人で年を重ねて、
おじいちゃんとおばあちゃんになったら、
派手なペアルックを着て、お散歩をすることが
私の密かな夢でした。
その頃のあなたは、きっと丸くなっていて、
しょうがないな って、私が準備した、かわいいペアルックを着て、
手を繋いで、一緒に近所を散歩してくれたのでしょう。
若いカップルとすれ違ったら
「私達も、あんな時がありましたね」
って
小さな子供を見つけたら
「あの子にも、あんな時がありましたね。元気にしてるかしら?」
って
ゆっくりとした時間を過ごしながら、
あなたと話をするのも、楽しみでした。
かわいいおじいちゃんとおばあちゃんになって、
近所では有名な、ペアルックの老夫婦。
そんな、老後を送りたかった。
あなたと2人、年を重ねて、
どちらが先に逝っても、
その覚悟ができるくらい、色々な経験を積んで、
1人、また1人と、
静かに生涯を終えるものと思っていました。
私の夢は、ちょっと・・・贅沢すぎましたね。
でもね、大丈夫。
あなたと夢を叶えられなかった
なんて、泣いたりしませんよ。
良いことを思い付きました。
私が、この人生を全うし、そちらに逝く時には、
棺の中に、
そちらで、あなたと着るペアルックを入れてもらう事にします。
あなたは、おじいちゃんではないけれど、
まぁ・・・
いいじゃないですか。
一度くらい、付き合ってくださいね。
まだまだ先になりそうですが、
あなたとのペアルック、楽しみにしていますよ。