彼がいない
悪い夢なら早く覚めてほしいと
何度も思ったけれど
彼がいない
あぁ 現実なんだ
夜は眠れなくて
彼の事を考えては 1人で泣き
彼にお線香をあげては 1人で泣き
車の運転をしながら 1人で泣いた
あの子は 彼の告別式以来
泣いていない
何も食べられなくなった私に
無理矢理ご飯を食べさせ
手伝える事は何かないかと
常に気を使ってくれた
あの子が必死に 彼の代わりになろうと
頑張っている事が伝わる
弱くてごめん
ごめんね
何度も心の中で謝りながら
「悲しい」 の頭で考える
私は何か忘れている気がする
そうだ
私がこの子を守らなくちゃ
悲しい顔は見せちゃいけない
無理して笑う
笑って
顔を上げたら
あの子が笑った
そうしているうちに
笑う事を思い出した
あの子の前では絶対に泣かない
そう覚悟を決めた日があった