拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -最後の我儘-

それは 彼がいなくなり 間もなくの事だった


小さな 丸いお菓子を全部食べたら


彼のところに行ける


という夢を見た


手元を見ると 半分程を食べた そのお菓子があった


あと残り半分を食べれば 彼のところに行けるんだ


そう思って

 

私は そのお菓子を見つめていた


それは 死など 不吉な意味はなく


ただ 彼の側に行けるというものだった


私は ただ彼と3人で一緒にいたいだけだった


すると 彼は突然目の前に現れ 私に言った


まだこちらに来てはいけないよ と


私が先に行っても あの子がいつ来られるか 分からないらしい


彼の言葉に私は


じゃぁ 夢の中で 時々3人で一緒に過ごせれば それでいいよ


そう伝え


お菓子を食べる事を諦めた


あれは


夢の中で これは夢だ と知りながら 

 

彼と話している不思議な夢だった


あれから時々


彼とあの子と私の家族3人で 楽しく過ごす夢を見る


それは


日常であったり


どこかへ出掛けている事もある


彼の夢から覚めた私は


いつでも 温かい気持ちになる


そんなふうに目覚めた朝は


逢いに来てくれたんだね 楽しかったね と


寝癖のまま 彼の遺影に話しかけてみる


「時々 夢の中で3人で過ごしたい」

 

あの夢の中 伝えた 私の最後の我儘を

 

彼は聞いてくれたのだろうか