あなたへ
あれは、確か、あの子が小学校中学年の頃だったでしょうか。
あなたは、夢を見たよ そう言って、話をしてくれましたね。
それは、地球最後の日。
あなたとあの子と私。
3人で固まって座り、後ろから、爆破音が聞こえる中、
ただ、地球最後の瞬間を、待つ夢だった。
後ろは見ない そう言っているのに、
あの子が何度も、
見ていい? ねぇ、後ろ見ていい?って言うものだから、可笑しかったよって。
あの頃の、あの子らしい言葉に、あなたと一緒に笑いましたね。
あの頃の私たちにとって、「死」とは、縁遠く、
それは、恐怖でしかありませんでした。
でも、例えば、そんな日が本当に来たなら、
その時は、3人で一緒に居られれば、それでいいよね。
こんなあなたの言葉に深く頷いたこと、よく覚えています。
家族3人でいる事。
それは、いつでも、私たちの一番の、幸せのかたちでしたね。
時々ね、あの時の、あなたの夢の話を思い出します。
そして、考えます。
もしも、本当に地球最後の日が来たら・・・って。
そうしたらね、やっぱり、そこには、あなたがいました。
あの子と私。
ふたりで、寄り添いながら、
その手には、あなたの遺影と位牌を大切に抱えて、
家族で過ごした、楽しかった日々を思い返すんだと思います。
そして、お父さんも一緒だから、怖くないね
どちらからともなく、こんな言葉が、出るのでしょう。
あなたのいるそちら側と、私たちのいるこちら側。
離れているけれど、私たちは、やっぱり、ずっと3人家族ですね。