あなたへ
今日のこちらは、季節外れの雪が降りました。
冬に逆戻りした寒さに、何だか、ちょっぴり、寂しくなりました。
あなたは、覚えていますか?
一時期、ガソリン代の節約になるからと、
バイクで通勤してくれていた事がありましたね。
夏はいいけれど、冬は寒いからと、車での通勤を勧めたけれど、
バイクでいいよ
そう言って、寒空の中、バイクで通勤してくれたあなた。
あの頃の冬は、あなたが帰ると同時に、
必ず、温かいコーヒーを淹れて迎えましたね。
バイクの音か聞こえると同時に、あなたのコーヒーを淹れること。
それは、あの頃の、私の小さなこだわりでした。
冷えた体を温めながら、美味しそうに、
私が淹れたコーヒーを飲んでくれるあなたの顔が好きでした。
思えば、私がコーヒーを飲むようになったのは、あなたと結婚してからでした。
それまでは、紅茶派だった私。
いつの頃からか、あなたと一緒に飲む、飲み物は、コーヒーへと変わっていました。
あなたを送り出してからも、相変わらず、コーヒーを飲む私は、
いつの間にか、あなたの色に、染まっていたんですね。
こんなふうに、季節外れに寒い日には、ふと、
あなたと一緒に、コーヒーを飲んだ冬を思い出します。