あなたへ
いつもの夜の挨拶。
おやすみとハイタッチをしながら、あの子が言いました。
あれ?俺の手、大きくなったよね?って。
久し振りに、手を合わせて、比べてみると、
私の手よりも、関節ひとつ分、
あの子の手の方が大きくなっていました。
あの子の手は、あなたの手によく似ています。
いつの間にか大きくなったあの子の手を見つめながら、
思い出していたのは、
あなたの手と、
私の手を合わせて、大きさを比べた日のことでした。
あなたの手は、大きくて、幸せをたくさん掴める手
私の手は、小さいから、きっと、幸せを掴めないんだよ
あの日の私はこんなことを言ったけれど、
あなたは笑って、言ってくれましたね。
小さな手で、全部を捕まえなくていいよ
指先で、俺の事をほんの少しだけ、
掴んでいてくれればいいんだよって。
あなたは、いつでも、
その大きな手で掴んだ幸せを、
私にも、分けてくれていたのかも知れませんね。
あの子の大きな手も、
いつか出会う、
あの子の大切な人の分の幸せも一緒に、
捕まえる日が来るのかも知れませんね。
あなたみたいに。