あなたへ
先日、外出中に、喧嘩をしているご夫婦を見かけました。
よりにもよって、喧嘩の最中に、通り掛かってしまうだなんて、
なんだか、申し訳なさで、いっぱいだった私は、
出来るだけ、話が耳に入らないように、足早に通り過ぎながら、
あなたのことを考えていました。
私たちも、たくさん、喧嘩をしましたね。
思い返せば、
何が原因で喧嘩をしたのかも覚えていないような、
些細なことだったように思います。
喧嘩をしたり、仲直りをしたり、
繰り返しながら、
私たちは、少しずつ、恋人から家族になっていきましたね。
あの日、偶然見かけたご夫婦は、
私たちよりも、若いご夫婦に見えました。
ご本人達は、あの時、嫌な気持ちで、喧嘩をしていたのかも知れませんが、
きっと、またひとつ、絆を深めていくのだろうなと、
私は、密かに、応援したい気持ちで、お二人の前を通り過ぎました。
喧嘩をすることも、出来なくなってしまった私たち。
もしも、この3年と7ヶ月、
あなたが変わらずに、此処にいてくれたのなら、
どんな喧嘩をしたでしょうか。
相変わらず、後から思い出せないような、くだらないことで喧嘩をしながら、
いつの間にか、仲直りをして、
もっと、もっと、深い絆で結ばれていたのでしょう。
あの頃は、喧嘩が嫌いで、時に、無駄な時間に思えていた私ですが、
あなたと離れ、
その時間にも、ちゃんと意味があることを知りました。
あの日、たまたま見かけたご夫婦が、
あの後、すぐに仲直りして、
また仲良く話しているといいなと思いました。
あの頃の私たちみたいに。