あなたへ
私よりも、4つ年上だったあなた。
いつでも、私よりも4歩、先を行くあなたは、
私よりも先のことを知っていて、
私が転ばないようにと、私の足元を照らしてくれているように見えました。
そんなあなたの光を頼りに、
私は、あなたを追いかけていたのでした。
いつでも、私よりも4歩、先を行くあなたは、
時に、どんなに頑張っても、追いつかない人に見えました。
そんな時は、なんだか少しだけ、悔しくて、
あなたのところに追いつこうと、
時に、大股で歩く努力をしました。
例えば、同じものを瞳に映してもね、
その年齢によって、見え方とか、感じ方って、
きっと違うんだろうなって思っていました。
だから、あなたは、私にとって、
追いつけそうで永遠に追いつけない、
私が知らない、何かを知っている人。
時々、そんなふうに考えていました。
今日、またひとつ、無事に年を重ねることが出来た私は、
あなたと同じ年齢になりました。
これから、私の瞳に映る景色は、
あなたが見ていた景色。
今日から、
あなたが最後に見ていた景色が、この瞳に映ります。
今まで、見つけることができなかった新しい何かを、
見つけることが出来るでしょうか。
あの頃、あなただけに見えて、私には見えなかった何かを、
見つけることが出来るでしょうか。