あなたへ
新しい時代が始まりました。
令和元年です。
昭和、平成、令和と指折り数え出したあの子は、
お母さん、婆ちゃんじゃん
なんて、言い出しました。
おばちゃん等ではなく、婆ちゃんです。
あの子と一緒に笑いながら、
昭和から、平成に変わった頃のことを思い出していました。
明治、大正、昭和、平成の時代を生きた私のお婆ちゃん。
幼心にも、お婆ちゃんは凄いなと思っていましたが、
私も、昭和、平成、令和と時代を生きることになりました。
あの子は、時々、
私の古い発想に、
これだから、昭和生まれは
なんて、笑いますが、
いつかあの子も、
これだから、平成生まれは
なんて言われる日が来るのかも知れませんね。
お母さん、婆ちゃんじゃん
そんな言葉に、ふたりで、ひとしきり笑いながら、
でも、新しい時代を迎えることが出来て、嬉しいでしょ?
そう呟いたあの子。
一瞬、ふたりで黙り込んだあの時、
あの子も私も、
きっと、同じことを考えていたのだと思います。
決して口には出さないまま、
ただ、静かに想ったあなたのこと。
きっと、あの子の中に浮かんだのも、
あなたの笑顔であったのだと思います。
あなただけ、迎えることが出来なかった新しい時代。
この令和という時代に、
あなたのその笑顔も、大きな手も、温もりもないけれど、
それでも、前へ進んでみたいと思ってしまうのは、
あの頃のあなたが、
私の背中を押し続けてくれているからなのでしょう。
新しい時代へ一歩、踏み出した私は、
どんな素敵なものを、見つけることが出来るでしょうか。
きっと、この令和という時代でしか見つけることが出来ない、素敵な何かが、
あるような気がします。
生きている
ではなく
生かされている
これは、いつかのあなたの言葉。
きっと私は、この新しい時代から、
多くのことを学ぶのでしょう。