この姿になってから、私が声を上げて泣いたのは、
自分が息を引き取った、あの日の夜だけだ。
あの日の夜に、テレビから聴こえてきたのは、
あの子が好きなアニメの主題歌だった。
あの日は、このアニメの映画公開日だった。
静かに流れる音楽も、歌詞も、
何故だか、私の気持ちを彼らに伝えてくれているような、
不思議な気持ちがした。
側にいたいよ
そんな内容の歌詞に、彼らは聞き入り、2人で泣き出した。
そんな2人の側で、私も一緒に泣いた。
私も側にいたい。
ずっと側にいたかったよ。
家族3人、たくさんの涙を流したけれど、
一番大泣きしたのは私だった。
彼らに気付かれることなく、
私は2人の側で、声を上げて泣いた。
この映画、3人で観に行こうねって約束していたんだ。
映画を観に行く約束をした時の、あの子の嬉しそうな顔を思い出す。
ごめんね。
約束守れなくて。
ごめんね。
当たり前に、続くと思っていた日常生活は、
死という形で、突然に終わりを告げ、
私は、もう、
彼らと一緒に、当たり前の日常を送ることは出来なくなってしまった。
こんなに側にいるのに、私だけが、此処にいない。