あなたへ
俺ね、2がいちばん好きな数字なの
唐突に、こんな話を聞かせてくれたのは、
あの子が、高校生の頃のことでした。
理由は、よく分からないけれど、
数字の中で、2が、いちばん好きなのだと、
こんなあの子の話を聞きながら、
私の中で蘇ったのは、いつかのあなたの言葉。
俺ね、1番は好きじゃないの
2番が好き
例えばさ、車のレースがあるとして、
いちばん早い車に乗れば、1番にゴール出来るのは、当たり前でしょ?
俺はね、2番目に早い車に乗って、1番になりたいの
あなたがこんな話を聞かせてくれたのは、
私たちが出会ってから、
どのくらいが経った頃だったでしょうか。
2番が好きだというあなたの話を聞きながら、
あの時の私の瞳に映っていたのは、
あなたが乗っていた4wdの助手席から見えた、夜の景色でした。
2番目のものが好きなあなたと、数字の2が好きなあの子。
あの子が知らない、あの頃のあなたの言葉と、
あの子の言葉を重ね合わせて、
私は、なんだか、笑ってしまいました。
だってさ、
どんなに離れていても、
やっぱり、親子なんだね。
本当は、車のナンバーを変えたいんだよね
2を入れたいの
あの子のこんな言葉に、
あの子が初めて、
数字の2が好きだと話してくれた日のことを思い出しました。