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これは、ずっと、ずっと先の、未来のお話。
亡き夫の分まで生きて、
おばあちゃんになりたいという、
私の夢が叶った先の物語です。
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あなたへ
あなたを見送ってから、
これまでの日々のことを振り返っていました。
あの日から、私の歩むスピードは、随分と、ゆっくりでしたが、
幸せのカケラを、ひとつ、ひとつ拾い集めながら、
自分のペースで歩んできました。
あなたが此処にいてくれたら
そんなふうに、たくさん泣いたけれど、
楽しかった時間も、笑った時間も、たくさんありました。
あの頃、12歳だったあの子も、
今は、立派に大人になり、夢を叶え、自分の居場所を見つけました。
時々、顔を出してくれるあの子は、いつでも幸せそうで、
あの子の笑顔を見る度に、私まで、幸せな気持ちになります。
あの子が幸せで、本当に良かった。
先日、あの子は、おじいちゃんになりました。
私たちの孫に、子供が生まれたのよ。
先日の私は、あの子に連れられて、ひ孫に逢いに行ってきました。
ひ孫はね、小さくて、温かくて、とても可愛かった。
握り締めたこの小さな手には、
きっと、たくさんの幸せが詰まっているの
赤ちゃんは、みんな、両手に、
たくさんの幸せを握り締めて生まれてくるんだと思うよって、
私がこんな話をしたらね、あの子は言ったの。
そっか。だから俺も、今、とても幸せなんだって。
孫を抱いて、幸せそうに笑ったあの子のことを、
あなたも、何処かで見ていてくれたでしょうか。
あの子が孫を抱く姿を見たら、
きっと、一度も振り返ることなく、
あなたの元へ逝くことが出来ると、
そんな手紙を書いたのは、いつのことだったでしょうか。
あの頃の私が、思い描いていた未来が、今、此処にあります。
これは、この人生での、私の最後の夢でした。
あの頃、思い描いていた夢が、叶ったのよ。
ねぇ、あなた。凄いでしょ?
今、私は、とても幸せです。
きっともう、これ以上の幸せなど、何処を探しても、ないのでしょう。
この人生を生きて良かった
今、私は、心からそう思いながら、
この人生を振り返っています。
ねぇ、あなた。
たくさん、待たせてしまって、ごめんなさい。
私は、もう、準備は、出来ています。
お迎えはいつになりますか。
なんて、こんなことを言ったら、
あなたに叱られてしまうのでしょうか。
あなたに、とても逢いたいです。