拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

同級生

あなたへ

 

先日、偶然に、インターネットで見つけたのは、

小学生の頃の同級生でした。

 

え?私、この人知ってる

え?凄い!

 

立派に活躍しているその姿に、

驚きと、彼ならそうなのかも知れないと、

納得の気持ちが入り混じったような不思議な気持ちで、

画面に映る彼の写真を、まじまじと見つめました。

 

彼とは、小学2年生の頃に、同じクラスだった記憶があります。

 

小学生の頃の同級生の中で、誰を覚えているかと聞かれても、

頭に浮かぶ顔は、そう多くはありませんが、

名前を見て、彼のことがすぐに分かったのは、

とても優しい男の子だったという強い印象があったからなのだと思います。

 

1年間だけ、同じ教室で共に学んだ彼が、

その後、同じ小学校を卒業したのか、

または、途中で転校してしまったのか、

その辺りの記憶はありませんが、

隣の席で、ニコニコと笑っていた彼のことが、鮮明に蘇りました。

 

彼が歩んだ略歴を見てみれば、

今のその場所に行き着くまでに、

どんなに努力を積み重ねてきたのかを窺い知ることが出来るような、

立派な足跡が並んでいました。

 

凄いね

 

画面に映る写真の彼を称賛しながら、

彼が歩んで来た道のりと、

私が歩んで来た道のりを、無意識に重ね合わせていました。

 

きっと、寝る間も惜しんで、

彼が勉強と向き合っていたであろう時間に、

私は、とても楽しく遊び呆けていました。

友達の輪が、どんどん広がり、

見るもの全てが、新しいものばかりだったあの頃の私は、

毎日、楽しいことへの探求を続けていました。

そんな楽しい毎日の中で、私は、あなたと出会いました。

 

やがて、新たな目標を持って、彼が一歩前へと踏み出す頃に、

私は、あなたと結婚しました。

幸せいっぱいの日々の中、あの子が生まれ、

3人家族という形の中で、

やっぱり、私は、楽しい毎日を過ごしていました。

苦労もあった筈ですが、

あなたと2人で、小さなあの子の成長を見守る毎日は、

本当に幸せで、楽しい日々でした。

 

そうして、彼が、更なる大きな進歩を遂げた頃、

私は、幼稚園生だったあの子と一緒に、

お遊戯会で、楽しく踊っていました。

いつの間にか、たくさんのことが出来るようになったあの子の成長に感動し、

思わず涙を流したのは、丁度、あの頃のことでした。

 

彼が、幾つもの進化を遂げ、様々な活躍をしている頃、

私は、小学生になったあの子の1年1年の成長を見守りながら、

少しずつ持つことが出来るようになっていった1人の時間と、

家族3人の時間を大切にしながら、

やはり、楽しい毎日を送っていました。

 

彼が、一歩一歩、今の場所へ向かって歩み続ける間に、

私は、ただ、幸せで、楽しい時間を過ごしていました。

それは、私にとって、何にも変え難い、宝物のような日々でしたが、

ふと、思いました。

 

私が、努力に努力を重ねるような、とても頑張った頃とは、

一体、いつだったのだろうかと。

 

こんな疑問を持ったのは、

どうしても叶えたい夢が出来たからなのだと思います。

 

あなたを見送り、

たくさん泣きながら歩んだ私がみつけた大きな夢は、

絶対に叶えたい夢です。

 

私が目指す場所までの道のりは、想像していたよりも、ずっと険しく、

思うように歩むことが出来ず、

大きなため息を吐いたり、自棄を起こしたり。

時には、あなたの遺影を見つめて、

弱音を吐いたこともありましたね。

 

偶然見つけた、かつての同級生の歩んで来た道のりと、

私が歩んで来た道のりを重ね合わせ、

漸く、納得することが出来ました。

 

私がただ、幸せで、楽しい時間を積み重ねて来た間に、

彼は、幾つもの険しい山々を超え、

漸く、今、そこに立っているだということに。

 

今、とても苦しいのも、頑張らなければいけないのも、当然だよ

俺が此処まで来るのに、何年掛かったと思っているの?

 

画面の向こう側、あの頃の面影を残した彼の笑顔は、

そんなふうに語りかけているようにさえ、感じました。

 

新しい夢を持つということは、

ゼロから学ばなければならないことだらけであり、

思うように歩むことが出来ないのは、当然なのかも知れません。

 

彼の立派な略歴を、もう一度、よく見つめ直し、

私も頑張らなくてはと、刺激を受けながら、

ページを閉じました。

 

幼かった頃の私に、とても優しくしてくれた彼は、

大人になった私に、

今度は、厳しさを教えてくれたような気がします。

 

偶然見つけた、小学生の頃の同級生。

かつて、机を並べて、共に勉強していた同級生から、

こんな形で刺激を受けることになる日が来るだなんて、

考えたこともありませんでした。

大人になるって、面白いものですね。

 

一刻も早く、前に進まなければと焦ったり、

時に、転んで、立ち止まったり。

相変わらず、不器用に歩む私ですが、

思わぬ偶然から、漸く、新たなものが見えたように思います。