拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたと出会う夏に見た夢

あなたへ

 

そこは、ただ白い世界が広がる、とても明るい場所でした。

 

私の目の前にいるのは、知らない男性。

いえ、今思えば、

その時はまだ、知らなかった男性、

と表現した方が、正しいのかも知れません。

 

男性の顔が見えないままに、

何故だか、私はとても穏やかな気持ちで、

彼に、ぴったりと寄り添っていました。

そこは、とても不思議な世界でした。

 

これは、まだあなたを知らない頃の私が見た夢の中での話です。

 

この夢を見た直後、私は、あなたと出会いました。

あの頃の私は、漠然と、

あの夢の中の彼は、あなただったのかなと考えたりもしましたが、

然程、気にすることもなく、

目の前にいるあなたとの時間を大切に過ごしました。

 

あなたとの時間を重ねる中で、

時々、ふと、あの白い世界の夢を思い出したこともありましたが、

一度も口に出すことがないままに、

いつから思い出すことがなくなっていったのか、

いつのまにか、記憶の奥へと仕舞われていました。

 

それは、幸せな現実が目の前にある私にとって、

もう、思い出す必要がなかったからなのかも知れません。

 

今日のこちらは、とても暖かで、雲ひとつない青空が広がりました。

暖かな風に吹かれながら、

青い空を見上げた私の中に、ふと蘇ったのは、

あの白い世界の夢のこと。

 

ねぇ、あの夢の中にいたのは、あなたでしょう?

 

私たちは運命の出会いだったねって、

いつかの私の言葉に、あなたは笑っていたけれど、

確かな証拠がまたひとつ、ここに揃ったように思えました。

 

だって、

あなたと出会う前の私が見つけた恋の中には、

不思議な夢を見た後に出会った恋なんて、ひとつもなかったもの。

 

あなたと出会った日に、

何の根拠もなく、やっと逢えたと感じたことも、

不思議な夢を見たことも、

あなただけは、何もかもが、初めから、特別だったの。

 

あの夢はきっと、

間もなく出会う運命の相手を教えてくれたのよ。

 

ねぇ、あなた。

またひとつ、私たちが運命だった証拠を見つけたよ。

 

青空を見上げて呟いた、私の小さな声は、

暖かな風に乗って、

あなたのところまで、届いたでしょうか。

 

 

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