拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

19歳

あなたへ

 

お母さんと一緒に写真撮りたいから、シャッター押してくれる?

 

こんな言葉で、私の胸をいっぱいにしてくれたのは、

高校の卒業式の日のあの子。

あの日のあの子の言葉は、

辛かったことも、苦労したことも、全てを帳消しにし、

変わりに、

苦労して良かったと、そう思える3年間へと変えてくれました。

2人並んで撮った写真は、

18歳になったばかりのあの子が、私にくれたプレゼントでした。

 

運転免許を取ったばかりだったあの子が見せてくれたのは、満開の桜の景色でした。

コロナウイルスの観点から、何処へ行くことも出来なかったけれど、

あの日のあの子は、特別な春の景色を私にくれました。

あの子の車の助手席から見た春は、

何年経っても、忘れることの出来ない景色になるでしょう。

 

コロナウイルスの影響により、

進学先へ、なかなか入学することが出来ずにいたあの子。

とても長い春休みを過ごした変わりに、夏休みは、とても短い期間でしたが、

その短さに、落胆するどころか、

学校が楽しいから、夏休みは、なくてもいいのだと、

こんな話を聞かせてくれました。

 

あの子が笑っていると、私も嬉しい。

 

進学先で出会った、たくさんの友達の話を聞かせてくれるあの子の笑顔に、

私までもが、楽しい気持ちになりました。

 

これまでにないほどの大きな食欲の波を見せてくれたのは、

秋が深まった頃のあの子。

 

料理は苦手。

こんな私の中に、あの子が見つけてくれたのは、

あの子のために料理をすることが、好きだという、

私が知らなかった、もう1人の私でした。

私が作った料理を美味しそうに食べてくれるあの子の笑顔がなければ、

私はきっと、

そっと影に隠れた彼女のことを知らないままでいたのでしょう。

 

自宅で、パソコンに向かうあの子の姿を初めて見たのは、

冬休みのことでした。

専門学生になり、

熱心に勉強と向き合う姿をたくさん見せてくれたあの子ですが、

パソコンに向かう姿は、

あの子が日々、どんなに一生懸命に学んでいるのかを、

改めて、知る機会でもありました。

 

勉強が楽しい

 

そう言って見せてくれたあの子の笑顔を見つめながら、

ふと、思い出したのは、高校2年生だったあの子のこと。

 

俺、ここの専門学校に行きたい

 

そう話してくれたあの日、

あの子の背中を、精一杯、押すことが出来て良かったなって、

そんなふうに思いながら、あの子の笑顔を見つめました。

 

俺が100歳になるまで、生きていてね

 

こんな言葉で、私に新たな目標をくれたのは、

18歳も、残り僅かとなった頃のあの子でした。

あの子の言葉に、改めて目標を明確にしてみると、

100歳のあの子に逢える日が、とても楽しみになりました。

 

100歳の誕生日を迎えたあの子は、どんなふうに笑うのだろう。

 

18歳のあの子は、こんなにたくさんの素敵な時間を私にくれました。

生まれた日から、毎日、毎日、

『可愛い』を積み重ねてきたあの子ですが、

18歳のあの子も、毎日、可愛かった。

 

ねぇ、あなたは、小さなあの子を、

初めて、その腕に抱いた日のことを覚えていますか。

 

あんなに小さかった私たちのあの子は、

今日、19歳になりましたよ。

 

19歳のあの子は、どんな成長を見せてくれるでしょうか。

とても楽しみですね。

 

 

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