あなたへ
あれ?ピンクの蝶々だ
ピンク色はね、珍しいんだよ
唐突に、隣から聞こえたのは、こんなあなたの声でした。
あなたの夢を見ました。
それは、あなたと2人で、ドライブを楽しみながら、
ヒラヒラと舞う、ピンク色の蝶々を見つける夢でした。
夢の中の私は、何故ピンク色の蝶々が珍しいのか、不思議に思いながら、
その舞う姿を眺めていましたが、
確かに、ピンク色の蝶々は、この世界では見たことがありません。
あなたの言う通り、
あの蝶々は、とても珍しい種類のものだったのでしょう。
キラキラと輝きを放ちながら舞う、ピンク色の蝶々は、
とても綺麗でしたね。
あなたのその姿は見えないままに、2人でピンク色の蝶々を眺める夢は、
とても短い夢でしたが、
とても幸せな気持ちだったこと、よく覚えています。
ピンク色はね、珍しいんだよ
夢の中のあなたの声を反芻しながら、ふと、
あの蝶は、そちら側の世界の生物なのかも知れないな
なんて、考えてみたりもしました。
だって、あんなに綺麗な蝶々は、
この世界中の何処を探しても、きっと、いないもの。
あれはきっと、あなたが見せてくれた景色。
ピンク色の蝶々がひらひらと優雅に舞うその姿は、
桜の花びらたちが、風に乗って、自由に舞う様子にも似ていましたね。
夢の中、あなたと一緒に見た素敵な景色。
ずっと、忘れないよ。