拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

この人生の最期の時

あなたへ

 

とても、いい人生だった

 

この人生の最期の時は、

そう思いながら、目を閉じたい。

 

いつか迎えに来てくれたあなたの手を取りながら、

ねぇ、あなた

とても良い人生だったのよ

あなたと出会えたから、こんなに素敵な人生を送れたのよって、

そんなふうに笑って、

あの夏からのこの人生での出来事を、

あなたに話して聞かせることが出来たら、

あなたは、どんな顔をして、笑ってくれるのだろう。

 

この人生を生きる意味だなんて、

そんな大それたことなど、考えたこともなかった私が、

真剣に、この人生を生きる意味を考えるようになったのは、

あなたを見送り、どれくらいが経った頃からだったでしょうか。

 

あなたが此処にいなくても、

今の私の瞳に映るものは、

あなたが見せ続けてくれる景色に変わりはないのだと、

そう気付くことが出来たのは、いつのことだったでしょうか。

 

もしも、あの夏の運命が違っていて、

今も、此処にあなたがいてくれたら

 

こんなふうに考えてしまうところは、何も変わらなくて、

後ろを向いては、

あの夏のあなたを何度も探してしまうけれど、

いつでもそこで待っていてくれる、あの夏のあなたのその手をギュッてして、

その温もりを感じることが出来たら、

また此処に戻って来て、頑張ることが出来るのは、

私が今、生きているこの人生は、

あなたが私にくれた未来だからだと思うのです。

 

だから、この人生の最期の瞬間には、

いい人生だったなって、

そう思いながら、静かに目を閉じたい。

 

此処から先の私だって、きっと、思うように物事が上手くいかない時には、

いつかの私みたいに、あーあ!って、大きなため息を吐き出してみたり、

あなたに逢いたくなって、後ろを向いて、座り込んでみたり。

 

きっと、ずっと、ゆっくりと歩む私だけれど、

この瞳には、いつでも鮮やかな色を映して、

ゆっくり、ゆっくりと、年を重ねていけたらいい。

 

時間を重ねる毎に、

あの夏からどんどん遠ざかってしまうことが怖くて、

時に、怯えてしまう日もあるけれど、

どんなにこの先へ歩んで行こうとも、

きっと、この人生の最期の瞬間まで、

私の瞳に映る景色は、

あなたが見せ続けてくれる景色に違いはないのだから。

 

 

 

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