拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

小さなあの子を抱いて願ったこと

あなたへ

 

この写真が送られて来てから、まだあまり時間が経っていないというのに、

私は何度、この写真を見返したでしょうか。

 

今、私が何度も、飽きずに眺めているのは、

妹夫婦の元へ生まれて来てくれた赤ちゃんの写真です。

 

生まれたての小さな甥っ子の写真を見つめながら、

赤ちゃんを抱いた時の、あの温もりを思い出していました。

 

あの子にも、こんなに小さい頃があったなって。

 

生まれたての小さなあの子の温もりを思い出しながら、

ふと蘇ったのは、

あなたが初めて、あの子を抱いた日のことでした。

 

慣れない手つきで、泣いているあの子を抱いて、

優しく微笑みかけるあなたの姿を初めて見たのは、

あの子がこの世界に誕生してから、何時間が経った頃だったでしょうか。

 

あの時のあなたの嬉しそうな顔。

今でも、よく覚えています。

 

あの時の私は、あなたの幸せそうな笑顔を見つめながら、

思っていました。

あなたと結婚出来て、良かったなって。

 

そうそう。

それから、

あの子が生まれ、2日目から、

病室で、あの子と私、2人の時間が始まりましたが、

あの頃のあなたは、仕事の休憩時間になると、

同僚を連れて、あの子に逢いに来てくれましたね。

 

俺の子、可愛いだろ

 

そう言って、自慢しまくるあなたの姿が、

なんだかとても可笑しくて、嬉しかった。

 

思えば、あの子が生まれてから、

いつもクールだったあなたの裏側に隠されていた別な顔を、

たくさん見つけるようになった気がします。

 

あなたにあんな顔をさせることが出来たのは、

世界中を探してもきっと、あの子だけですね。

 

小さなあの子を抱いていたあの頃の私たちは、

ふたりで同じことを願いましたね。

 

この子の人生が、素敵な人生でありますようにって。

 

あれから、19年が経ち、今、此処にいるのは、

たくさんの大切な友達に恵まれて、

自分の夢を懸命に追いかけながら、いつでも笑っているあの子。

 

あの頃の私たちの願いは、ちゃんと叶っていたんだね。

 

これから先のあの子の人生も、素敵な人生でありますように。

 

小さな小さな甥っ子の写真を眺めながら、鮮明に思い出していた、

あの子が生まれたばかりの頃の時間。

 

妹夫婦も、いつか、ずっと先の未来、

今、過ごすこの時間を振り返りながら、思う日が来るのでしょう。

 

あの頃の願いは、ちゃんと叶っていたんだねって。