拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

忘れられない空

あなたへ

 

昨日の私は、夏至の空を眺めながら、

あなたと一緒に見た空を思い出していました。

 

ねぇ、あなたは、この世界で、

私と一緒に見た空を、幾つ、覚えていますか。

 

出会った日の空

初めて、一緒に旅行をした日の空

私たちが結婚した日の空

あの子が生まれた日の空

 

ふわふわした綿飴みたいな雲が浮かんだ空や、

青空に描かれた、綺麗な飛行機雲。

虹が掛かった雨上がりの空。

 

思えば、日時生活の中、私たちは、一緒に、たくさんの空を眺めましたが、

その中で、あなたにとって、

忘れられない空は、どんな空でしょうか。

 

私の中での、忘れられない空はね、

あの日の空です。

 

あれは、あの子が生まれてから、

どれくらいが経った頃だったでしょうか。

 

あなたの実家へ向かう途中に見つけた、

あの幻想的な空を、あなたは、覚えていますか。

 

何故だかあの日だけ、

いつもとは違うルートを選んで車を走らせたあなた。

 

こんな道があったんだね

 

見たこともない景色を楽しみながら、

ふと見上げた空に見えたのは、雲の隙間から光が射す、幻想的な空でした。

 

ねぇ、見て?凄く綺麗な空だよ

 

こんな私の声に、車を路肩に停めてくれたあなたと一緒に、

少しの間、空を見上げましたね。

 

これまで、たくさんの空を見上げてきた私ですが、

あの日の空は、この人生の中で、一番、感動した、

忘れることの出来ない空でした。

 

あの頃は、その名を知らずにいたけれど、

あれは、天使の梯子と呼ぶのだそうです。

 

ねぇ、あなた。

あの日のあなたは、どうして、

いつもとは違うルートを選んだのだろう。

 

もしも、いつものルートで実家へと向かっていたのなら、

きっと私たちは、あの空を知らないままでいたね。

 

今、振り返ってみると、とても不思議ですが、

たった一度だけ、あのルートを使ったのは、

忘れることの出来ない空と出会うための、必然だったのでしょうか。