拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたに預けたもの

あなたへ

 

ねぇ、あなた

これ、どうしたら良いのかな

 

あなたへお線香をあげながら、

あなたの顔を見つめながら、

あなたの場所を掃除しながら、

視界の隅に映るその存在を確認しながら、

結局、どうしたら良いのかが分からずにいるのは、

あなたに預けたままになっている例のもの。

 

これをあなたに預けたのは、忘れもしません。

あのことがあったからでした。

 

お母さん、何も感じない?

本当に?

大丈夫?

 

帰宅したあの子が、ただいまの挨拶よりも先に、

矢継ぎ早にこんな質問をしてきたのは、

専門学生1年生だったある日のこと。

 

心霊スポットへ連れて行かれてしまったのだというあの日のあの子は、

そこで起こった恐怖の現象から、塩を買い、

友人たちや車に、塩を振りかけたのだそうですが、

出来事についての全てを話し終えると、

 

それでね

これ、どうしよう

 

そう言って、ポケットから、

その時に使った塩の残りを取り出したのです。

 

え?持って帰って来たの?

 

恐怖の出来事に、お清めとして使った塩です。

なんだか、食用とするのも、処分するのも気が引けて、

私たちは、塩を眺めながら、途方に暮れました。

 

これは、どうしたら良いのだろう

 

そうして、私たちが悩んで出した結論は、

あなたに預けてみる

でした。

 

お父さんならさ、きっと、どうにかしてくれるはずだよ

だって、お父さんは、最強の神様だから

 

あの子との意見が纏まったところで、

あなたの棚の下の段、

あなたグッズを纏めた場所へ、例の塩を置いたのでした。

 

ここに置いてもいい?

 

あの日の私の声は、あなたにも届いたでしょうか。

 

あれから、視界の隅に、例の塩を確認しては、

どうしたものかと悩みますが、

結局、答えは見つからないまま、

あなたに預けたまま、暫くの時が過ぎました。

 

今日もまた、視界の隅に塩を確認しながらも、

どうすることも出来ないままに。

 

いいよ

このまま、ここに置いときなよ

怖いんでしょう?

 

きっとあなたの返事は、こんな返事だと、

こんな時は、私の良いように解釈してみる。

とは言え、ずっとこのまま、という訳にもいかないでしょう。

 

ねぇ、あなた。

この塩、どうしたら良いのかな。

 

 

 

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