拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子の寝言

あなたへ

 

朝だよ、起きて?

 

・・・あの車、見た?

 

これは、先日のあの子との朝の会話です。

寝不足の朝には、こんなふうにチグハグな返事をする最近のあの子。

 

こんな時は、いつもよりも起こすのが大変ですが、

返ってくる言葉が面白いので、最近の私は、

なかなか目を覚さないあの子を起こす時間も、楽しんでいます。

 

あの日の私は、何度、あの子に声を掛けたでしょうか。

 

何度目かの声掛けで、漸く起き出したあの子は、

俺、さっき変なこと言ってなかった?って、なんとなく、

先ほどの会話を覚えていた様子。

 

あの車、見た?って言ってたよ

 

そうなんだよ

ナンバープレートの代わりに、

ポテトチップスの袋を付けている車がいてさ

 

先ほどまで見ていたあの子の夢の中での話に、

ナンバープレートの位置に取り付けられたポテトチップスの袋が、

パタパタと風に煽られる様子が目に浮かんで、朝から笑ったのでした。

 

車やバイクに関する寝言が大半を占める最近のあの子からは、

その頭の中に占められている乗り物率が、

どれほどであるのかを計り知ることが出来ます。

 

どれだけ乗り物が好きなのかと、なんだか笑ってしまいますが、

思えば、車もバイクも、

あなたを見送ってからのあの子が見つけた夢でした。

 

バイクの雑誌やプラモデルを眺めては、

楽しそうにしていたのは、中学生だった頃のあの子。

 

車の免許を取ったら、こんな車に乗りたいと、

楽しそうに話を聞かせてくれたのは、高校生の頃のあの子。

 

その夢をひとつひとつ叶えては、

とても嬉しそうにしていたあの頃のあの子の姿がふと、鮮明に蘇りました。

大きくなったなって。

 

その眠りを妨げる私に対して、

鋭い目つきで睨みつけるジョニーが現れなくなってから、

もう、どのくらいが経つでしょうか。

 

平穏な朝が戻り、ここ最近の朝のあの子は、とても面白いです。

 

そろそろ自分で起きられるようになってほしいなとも思いますが、

まだもう少しだけ、

あの子の変な寝言を聞いてみたいなとも思う、

複雑な気持ちを見つけた先日の朝でした。

 

 

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