拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの夏と同じ出来事

あなたへ

 

昨夜のあの子は、パソコンを使って、課題に向き合っていました。

 

お母さん、これ、どうすれば良いか分かる?

 

突然のあの子のこんな声に、パソコンを覗いてみると、

私には、あまり縁のない画面が見えました。

 

こんなファイルを作りたいんだけど、お母さん、分かる?

 

パソコンに関する知識など、皆無に近い私は、

自分にとって必要なこと以外、何も分かりません。

きっと、あなたがよく知っているあの夏の私から、

殆ど、その進化はないのでしょう。

 

こんな私ですが、今回、あの子は私を頼ってくれたのです。

あの子の成長と共に、

私が教えてあげられることなど、もう何も残ってはいないのだと、

そう感じることも多くなって来ましたが、

私を頼ってくれたあの子の期待に応えるべく、

昨夜の私は、一緒にパソコンの画面を覗き込みながら、

この僅かな知識を生かして、どうにかなるかも知れないと、

分からないながらも、挑戦してみました。

 

こうしてみて?

ここ、クリックしてみて?

じゃあ、こっちは?

 

思いつく限りのことをしてみましたが、

何をしても、上手くはいかないままに、

私の僅かな知識は、すぐに底を尽きました。

 

ねぇ、あなた

あの子に教えてあげて?

 

こんな私の心の声を、あなたは聞いてくれていたのでしょうか。

 

心の中で、そっとあなたに語りかけて間も無くに聞こえて来たのは、

出来た!ってあの子の声でした。

 

偶然のタイミングとも取れる昨夜の出来事でしたが、

私には、すぐに分かりました。

あなたが教えてくれたんだって。

 

だって、あの夏と、全く同じだったもの。

 

あれは、あなたを見送ってから、

幾日くらいが経った頃だったでしょうか。

 

あなたの遺影に選んだ写真は、家族3人で撮った写真から選びましたが、

あなたのお母さんから、

遺影と同じように、あなたの姿だけに編集した写真が欲しいと頼まれました。

あなたの実家の仏壇にも、写真を置いておきたいからと。

 

次にお母さんに会う日に渡そうと、初めて画像編集に挑戦した私でしたが、

かなりの時間、向き合ってみても、

なかなか上手くいかないままに、大きな溜息を、吐いたのでした。

 

全然、出来ないよ・・・

ねぇ、あなた?これ、どうすれば良い?

 

あの日のこんな私の声を、あなたはきっと、

すぐ側で、聞いてくれていたのでしょう。

 

あなたに助けを求めた直後、

ものの数秒で、思い通りの写真が完成したあの不思議な出来事、

今でも、よく覚えています。

 

体が勝手に動いた感覚があったわけでも、

あなたの声が聞こえたわけでもなく、

なんだか自分でもよく分からないままに、

思い通りの写真に仕上げることが出来たあの日の出来事は、

あなたを、見送ってからの私が体験した不思議な出来事のうちのひとつ。

 

昨夜の目の前で起きたタイミングの良すぎる出来事に、

あなたを側に感じながら、

あの夏の出来事と重ね合わせました。

 

また今回も、助けてくれたあなた。

ありがとう。