拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -夏の音-2021

今年もまた夏が来たよ

 

空を見上げて

そっと目を閉じてみる

 

夏の音に耳を澄ませながら

彼と出会ってからの夏を

順番に思い出すのが

夏の始まりの私の恒例となった

 

この記憶の中を歩くように

幾つもの夏の彼に逢いに行く

 

初めて出会った夏

 

2番目の夏

 

3番目の夏

 

4番目の夏

 

幾つもの彼の笑顔を見つけては

ゆっくりと歩を進め

今年の私が足を止めたのは

彼と出会ってから5番目の夏の記憶

 

あの夏は

家族3人で迎えた初めての夏だった

 

上手に寝返りが出来るようになったあの子と

楽しそうに遊ぶ彼は

いつも笑っていたっけ

 

あの子が彼に笑い掛ければ嬉しそうに笑い

あの子がおもちゃに手を伸ばす姿を見ては楽しそうに笑った

 

パパとママになって

初めて見た夏の景色は

私たちにとって掛け替えのない宝物だね

 

出会ってから5番目の夏で笑う彼に

そっと手を伸ばして

その頬に触れてみる

 

あの夏の彼が

どんなふうにあの子に笑い掛けていたのか

 

あの夏の彼が

どんなふうにあの子に話し掛けていたのか

 

あの子の記憶には

なにも残ってはいないのだろう

 

いつかあの子にも話して聞かせてあげよう

あの夏の彼が

どんなにあの子を愛しんでいたのかを

 

家族3人で初めて見た夏の景色を

もう一度

この胸にしっかりと焼き付けて

瞳を開いてみる

 

あなたを見送ってから

7番目の夏のあの子も

よく笑ういい子だよ

 

空の彼方へ

そっと問いかけながら

あの子に笑い掛ける彼の姿を

思い浮かべてみる

 

 

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