拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

空飛ぶ車

あなたへ

 

お母さん見て!空飛ぶ車だって!

 

あの子のこんな声が聞こえたのは、先月のことでした。

あの日、録画していたテレビ番組を観ていたあの子が、停止ボタンを押すと、

偶然そこに映っていたのは、空飛ぶ車でした。

 

あの日の私たちは、時間の都合から、

ほんの僅かな間しか、その番組を観ることが出来ずに、

4年後の2025年には、

空飛ぶ車が実用化されるらしいという情報しか得ることが出来ませんでしたが、

あれからの私たちは、何度となく、空飛ぶ車のことを話題にしてきました。

車が空を飛ぶだなんて、なんだか、夢みたいだねって。

 

僅かな情報しか知らないままに、

様々に未来を思い描いてきた私たちですが、

その情報についてを調べてみると、

移動に掛かる所要時間は、自動車の4分の1程度であることや、

実用化の当初では、タクシーのような利用が想定されており、

2030年代には、一般家庭への普及を目指していることを知りました。

 

ビックリではありませんか。

 

今から、10年先の未来には、

空を飛んで、ちょっとそこまで。

そんなことが日常になりつつあるのかも知れません。

 

 

『実は、今、空を飛んでいます。』

 

いつか、空飛ぶ車の中から、

あなたへこんな手紙を送って驚かせようと思っていましたが、

それまで待ちきれずに、こうして手紙を書いてしまいました。

 

あなたを見送り、様々に進化を重ねてきた私ですが、

あなたに、隠しごとをし続けることが出来ないところは、

あの頃と変わらないようです。

 

あなたにも見せてあげたい素敵なものをたくさん集めよう。

 

それがこの人生のテーマだと、

そんなふうに決めたのは、いつのことだったでしょうか。

 

これから先の未来には、

あの頃の私が思い描いていた未来よりも、

ずっと素敵な景色を見ることが出来るのかも知れませんね。