あなたへ
あなたは、こんなにすぐ近くにいたんだね
間も無く、眠りに就けそうな、
けれど、完全な眠りまでには、ほんの少しの距離がある。
こんな夢と現実の隙間に、僅かな意識を巡らせた私が感じたのは、
すぐ側にいるあなたの温もりでした。
眠りの入り口の、ほんの少しだけ手前側。
私の意思では、決して探り当てることの出来ないその場所で、
あなたを見つけたのは、これで何度目だっただろう。
決して、長い間、止まってはいられない眠りと現実の隙間の空間は、
ほんの僅かにだけ、あなたの世界と重なる世界であるのでしょうか。
僅かに意識を巡らせて微睡んだ、短い時間を思い返しながら、
今日の私は、あなたの顔を、何度も覗き込んでみました。
素敵な奇跡か何かが重なって、
そちら側のあなたの声が聞こえてはくれないかと、
僅かな期待を持って、その答えを待ってみたけれど、
今日も、あなたは、いつもと変わらずに、
微笑んでくれるだけでしたね。
今のあなたは、きっと、空の彼方でありながらも、
遠くとも、近くとも取れるような、
不思議な距離のある場所にいるのかも知れないなって、
そんなふうに、ひとりで納得しながら、
夢とも、現実とも区別がし難い曖昧な空間に感じた、
あなたの温もりを、もう一度、しっかりと思い出してみました。
何度思い出してみても、
夢の中にしては手前過ぎるあの場所は、
今のあなたがいる場所に、ほんの少しだけ、重なっていた気がして。