拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたが見ていた景色

あなたへ

 

やっと見つけた!

 

思わずこんな独り言が漏れ出てしまったのは、

年明け間近の頃の私でした。

 

探していた景色を、やっと見つけたのです。

 

あなたは覚えていますか。

 

毎朝、寒いのに、早くからのお仕事ありがとう

なんか、ごめんね

 

そうでもないよ

 

これは、いつかの冬の日の私たちの会話。

 

寒い中、早朝から仕事へ出発していたあなたに、

申し訳なさを感じながら、言葉を掛けた私に、

あなたは、意外な返事をくれたのでした。

 

こんな景色を見ることも出来るし、早朝からの仕事も悪くないよって。

 

あの日のあなたが見せてくれたのは、

綺麗な朝焼けが写った何枚かの写真。

 

あの時、あなたは笑って言ったの。

この写真、何処だと思う?家のすぐ側だよって。

 

時間が変われば、景色も変わる。

私たちが暮らしていたすぐ側に、素敵な景色があることを教えてくれたのは、

あの時のあなたでした。

 

私が、緩く、早起きを心掛けるようになってから、

もう、どのくらいが経ったでしょうか。

 

思わず、身震いしてしまうような冬の朝の空気の冷たさを感じる頃になると、

毎年、思い出していたのは、あの時、あなたが見せてくれた景色でした。

 

実はね、昨年も、一昨年も、

あの時、あなたが見せてくれた景色を探しに出掛けていたの。

 

あの頃のあなたが仕事へと出掛けていた時間に合わせて、

あの辺りを散歩しては、

なんだか、太陽の位置が違うな、とか、此処じゃなかったのかなって、

時々には自分の記憶を疑ったこともあったけれど、

あの日のあなたが見せてくれた景色は、

1月でも、2月でもなく、12月の景色だったんだね。

 

あなたが見ていた景色を、やっと見つけました。

 

いつかの冬の朝、あなたは、

あの場所から見た景色があまりにも綺麗で、

思わず車を止めて、あの写真を撮ったんだね。

 

見慣れているはずの景色は、朝の光に照らされて、

キラキラと光っていて、

とても美しくて、私も思わず足を止めました。

綺麗だなって。

 

あなたはもう、この世界にはいないけれど、

いつかのあなたが見ていた景色は、

ちゃんと此処に、変わらずに残っていたよ。

 

 

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