あなたへ
父を想い、お布団の中で、盛大に涙を流してしまったのは、
先日の私です。
父に見せてあげたかった景色に辿り着くことが出来る日まで、
絶対に泣かない。
こう決めたのは、父が息を引き取ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。
父を想って、次に泣いても良い日を強く心に決めたはずだったのに、
涙は止めどなく流れ続けて、抑えることが出来ないままに、
父のたくさんの笑顔を思い出していました。
ねぇ、あなた。
こんな時に、あなたはどうして此処にいないのだろう。
お布団の中で泣いていた夜は、
世界中で、私だけがひとりぼっちであるような気がして、
必死に、あなたの声を探してしまいました。
今日だけは特別に、
あの、魔法の言葉が聞こえてはくれないかなって。
溢れ続ける涙を、何度も何度も拭いながら、
どんなに待ってみても、あなたの声は聞こえないままに、
いつの間にか眠ってしまった私は、いつも通りの朝を迎えました。
心がどんなに立ち止まっていようとも、
時間だけは、皆と同じように過ぎ行くことを教えてくれたのは、
この世界から去った後のあなたでした。
そして、
こうして当たり前のように新しい朝を迎えることが出来るのが、
どんなに幸せなことであるのかも、
あなたは、同時に、私に教えてくれました。
時々には、あんなふうに、抑えきれない感情をそのままに、
あなたの声を、温もりを探してしまう夜もあるけれど、
それでも、朝が来たら、
自分を奮い立たせて、何事もなかったかのように、
いつも通りの顔をして、前へと歩む私でありたいと思っています。
だから、見ていてね。
いつの日か、父に、そして、あなたにも、
何の一点の曇りもない笑顔を空に向けて、
素敵な報告をする日を迎えて見せるから。
お布団の中で盛大に泣いてしまった日から、少しの時間が経ち、
父の初めての命日を迎えました。
お墓参りでは、
あの子が無事に成人式を迎えることが出来たことと、
私も頑張るよって、改めて、父へ報告をしました。
父は、そちら側で、元気にしているでしょうか。
私は、まだまだこの世界での旅の途中。
此処から先で、何を見つけることが出来るのか、まだ分からないけれど、
この命を大切に、生きることを精一杯、楽しんでみるよ。