あなたへ
いつかのあなたが連れて行ってくれたあの場所の続きで、
ひとりの時間を過ごす難しさを感じたのは、
一面に広がる菜の花色の景色を見つけてから、少しの時間が経ってからのことでした。
結構な距離を歩かなければ行くことの出来ないあの場所へは、
まだ数えるほどにしか、出掛けたことがなく、
私にとって、まだまだ未開拓の地でもあります。
あの日は、菜の花色の次の景色を見てみたくて、あの場所へと出掛けた日でした。
すれ違う人も殆どなく、本当に静かで居心地の良い場所。
いつもと変わらずに、とても静かなあの場所で、
小さくて、とても可愛らしい紫色の花を見つけました。
素敵なものを見つけた後は、
私の中で、いつもの休憩場所となりつつあったスペースで一休みをしました。
あの場所の続きにはね
この時期になると、紫色の花が咲くんだよ
空を見上げて、早速あなたにも報告を。
花の名前に疎い私には、
それが何という名前の花なのか、分からないけれど、
あなたはきっと、知っているんだろうなって。
そうして、
マスクを外して風の匂いを嗅いでみました。
初夏を感じる爽やかな風は、春と夏の間の匂いがしました。
様々に思いを巡らせながら、
季節の匂いと、何処までも続く青い空を、ただ楽しんでいたはずだったのに、
軽い雰囲気のそれは、突然に聞こえたのです。
こんにちは
こんなところで何してるの?と。
私は、警戒心が強過ぎるのでしょうか。
いえ。
周りにたくさんの人がいる状態であれば、
恐怖を感じることは、きっとなかったのでしょう。
あの時、強い恐怖を感じてしまったのは、
誰もいない場所で、知らない男性から声を掛けられたからなのだと思います。
早くここから逃げなければと、あの時の私は、
平然を装いながらも、足早に、その場を去りました。
今思えば、少し過剰に反応してしまったのかも知れないと、
そんなふうにも思いますが、
直感を信じるのであれば、
あの日の私が感じた恐怖は、恐らく本物だったのでしょう。
あの子に話せば、
お母さん、ナンパされたの?嘘でしょ?
なんて爆笑されてしまいましたが、
声を掛ける目的は、きっとそればかりではないのでしょう。
こちらの年齢など関係なく、
何か別の目的を持った人が近づいてくることもあるのだと思います。
実を言えば、
静かな場所で、知らない男性からこのように声を掛けられることは、
これで2回目です。
ひとりで座って空を見上げる。
それは、何か隙があるようにも見えるものなのでしょうか。
あの件があってからというもの、
これまでは好まなかった、
人がたくさんいる公園の良さを見直すきっかけへと繋がることにもなりましたが、
やはり、私が静かな場所で空を見上げる時間を好むのは、
それが私にとって、
あなたと過ごす時間にも繋がっているように感じるからなのかも知れません。
あなたを見送り、私なりに少しずつ成長し、
それに伴い、強さも身に付けてきたつもりでいましたが、
私はきっと、まだまだ強くならなければならないのでしょう。
外でひとりの時間を過ごすには、
今の私にはまだ持ち合わせてはいない、
もっと別な強さを身につけなければいけないのかも知れません。
どれだけ強くなれば、これで良いと思えるのか、
日々の出来事の中、様々な視点から自分の強さを考えれば、
なんだか途方に暮れてしまいそうですが、
私には、まだまだ向き合わなければならない課題が山積みのようです。
私が集めた空を形にしました↓↓↓