拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

7歳だったあの子が見ていた景色

あなたへ

 

先日のあの子が突然に、押し入れから引っ張り出してきたのは、

あの子が小学生の頃に使っていたゲーム機でした。

 

勉強に筋トレと、日々、忙しく過ごしているあの子ですが、

たまには息抜きにと、

突然、あの頃のゲームをしてみたくなったのだそう。

 

ねぇ、これ見て

 

暫くの間、ゲームを楽しんでいたあの子が見せてくれたのは、

ゲーム機の中に収められていたあの頃の写真でした。

 

日付を見てみると、それは13年前。

あの子がまだ、

7歳だった頃に流れていた時間が切り取られたものでした。

 

7歳だったあの子を見つめていた私たちは、

本当にいい顔で笑っていました。

 

おやすみ

また明日ね

 

おはよう

いってらっしゃい

 

こんな当たり前の日常を過ごしていたあの頃の私たちは、

いつでも未来だけを見ていましたね。

 

あの子の部屋の押し入れの中で眠っていたあの頃の笑顔は、

何も疑わずに、新しい明日を信じていた幸せな笑顔でした。

 

思えば、このゲーム機をあの子に買ってあげる時には、

私たちの中に、たくさんの葛藤がありましたね。

 

育った時代が違う私たちは、

我が子にゲームを買い与えることは、正しいのだろうかと、

こんなふうに悩んだりもしました。

 

たくさん悩んで、買うことに決めた私たちですが、

あれからの私たちは、

たくさんの、買ってあげて良かったを見つけることが出来ました。

 

あれから、13年の月日が経ってから、

また新たな、買ってあげてよかったを見つけることが出来るだなんて、

思いもしなかったけれど、

此処にまたひとつ、

買ってあげて良かったなと思えるものを見つけましたよ。

 

あの子が集めた日常の中の幸せは、

私たちが切り取ったそれとは、また違った景色。

 

それは、7歳だったあの子にしか、

集めることのできなかった宝物だったのだと思いました。

 

ねぇ、あなた。

やっぱり、

あの時、買ってあげて良かったね。