拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

虹色の光を見つめながら

あなたへ

 

わぁ、綺麗!

ねぇ、あなた 見て?

 

こんな私の声は、あなたの所まで届いたでしょうか。

 

先日の私が家族の部屋で見つけたのは、

窓際に置かれたあの子の定規に太陽の光が当たって、

床に出来た虹色の光でした。

 

それとも、

虹色の光が出来た時に、実はあなたが呼んでくれていたのでしょうか。

 

こっちに来て見てごらん

虹色が出来ているよって。 

 

思えば、

夕日が綺麗に見えるのも、

壁を使って影遊びをすることが出来るのも、

あなたがいてくれるこの部屋だけ。

この部屋には、特別なものが、たくさん詰まっているような気がします。

 

そっか。

この場所へは、やはりあなたが連れてきてくれたんだね。

 

床に出来た綺麗な虹色を見つめながら思い出していたのは、

この部屋を内見した日のことでした。

 

常に何かに追われ続けていたあの頃の私は、

時間帯や天気、季節によって、此処から何が見えるかだなんて、

考える余裕など全くなくて、

急ぎ足で前へと歩まなければと、焦ってばかりいた私。

 

あの日の空は、厚い雲に覆われていて、

窓の外を見ても、感じたことなど何もなかったけれど、

此処にある空気を肌で感じながら、

この場所にしようと決めたことだけは、よく覚えています。

 

家の中を見て歩く私たちに、あの時のあなたは、

やはり、語りかけてくれていたんだね。

ねぇ、此処にしなよって。

 

きっとあなたは、私が考えていたよりもずっと、

色々な視点から、この部屋を勧めてくれていたのかも知れません。

 

西があっちだから、此処からなら、夕日も綺麗に見えるよ

 

もしもあの日のあなたがこんなふうに語りかけてくれていたとしたのなら、

なんだかとても、あなたらしい。

だって、あなたはいつでも的確に、方角を言い当てることが出来たもの。

 

この場所は、とても静かで、

素敵なものに囲まれていて、

どの部屋からでも、空が綺麗に見える。

そして、

家族3人が集まる場所には特別に、

素敵なものがたくさん詰まっているの。

 

此処にある景色は、全部、

あなたからの贈り物だったのかも知れませんね。

 

この世界が作り出す素敵なものを見つけるのが上手だったあなたは、

あの日、疲れ切った顔をした私のすぐ側で、

語りかけてくれていたのでしょうか。

 

この世界には、素敵なものがたくさんあるんだよ。

全部、見ておいでって。

 

 

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