拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

黄色のてんとう虫

あなたへ

 

「キイロテントウ」

こう呼ばれる黄色のてんとう虫がいることを知ったのは、

先日のことでした。

 

あの日、車に乗り込もうとドアを開けたら、

てんとう虫によく似た形の黄色の虫が、

突然に、車内へと飛んできました。

 

虫が苦手な私だけれど、何故だか、その虫に対しては、

嫌悪感を抱くこともなく、外に出してあげることが出来たのは、

何か特別なものを感じたからだったのでしょうか。

 

虫が苦手なはずの私が、

可愛らしいとさえ感じていたのだから、なんだかとても不思議でした。

 

これは、てんとう虫なのかな。

それとも、別な虫なの?

 

初めて見つけたその色がとても気になって、調べてみると、

キイロテントウと呼ばれるてんとう虫であることが分かりました。

 

まさか、黄色のてんとう虫がいるだなんてね。

 

この世界には、まだまだ私の知らないものがたくさんあるんだなって、

なんだかとても嬉しくなって、

あなたにも教えてあげようと、調べを進めていくうちに、

やがて私の目に飛び込んできたのは、

てんとう虫は亡くなった方の使者であるという言葉でした。

それは言い伝えのようですが、強ち、間違いではないのかも知れません。

 

いつか、あなたへ、父を想いながら涙を堪えた日に、

てんとう虫を見つけたと、こんな手紙を書きましたが、

あの日のことは、こうして振り返ってみても、とても不思議です。

 

涙が零れ落ちないように強く目を閉じて、

次に目を開くと突然に、目の前にてんとう虫が現れるだなんてさ。

 

あの日、見つけたてんとう虫は、

やはり父だったのかも知れません。

 

それなら、あの黄色のてんとう虫は、あなただったのでしょうか。

 

だって、

あのてんとう虫を見つけた日の私は、

目の前にある山積みの課題に、途方に暮れながら、

ねぇ、あなた

私、どうすればいいかなって、

空を見上げて、ため息を吐き出した日だったもの。

 

それに、よく考えてみれば、やっぱり変です。

虫が苦手な私のはずなのに、嫌ではないという感情を超えて、

それを可愛らしいと思うだなんて。

 

頭の中では理解をしていなくても、

私はどこかで感じていたのかも知れませんね。

それが特別なものであるということを。

 

あなたにも教えてあげたくて、

黄色のてんとう虫についてを詳しく調べてみた私ですが、

調べを進めてみれば、全く別な視点からのものが見えてきました。

 

あなたは、きっと知っていたんだね。

この世界には、黄色のてんとう虫がいるということを。

 

黄色のてんとう虫、見たことないでしょう?

見て?姿を借りて会いに来たよ。

 

もしもあの日、あなたのその声を聞くことが出来たとしたのなら、

そこには、あなたからのこんな言葉が、

添えられていたような気がします。

 

そうして、あなたはきっと飛び立つ前に、

あの、魔法の言葉を私にくれたに違いありません。

 

あれからも、山積みの課題へと奮闘する日々は続いていますが、

もう、ため息は吐いてはいません。

元気に頑張っているからね。

 

きっとあの日、会いに来てくれたあなたへ、

ありがとう。

 

 

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