拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

秋の公園でみつけたもの

あなたへ

 

今年の秋の私が、

近所の公園で新しく見つけたものを数えていました。

 

金木犀の木。

それから、あの頃の私には見つけられなかったどんぐりの木。

そして、いつの間にか変わっていた遊具。

 

ねぇ、あなたは、気付いていましたか。

遊具のある広場から一番離れた公園への入り口に、

金木犀の木があったのよ。

 

あの頃の私だって、金木犀の香りが大好きだったはずなのに、

大好きな香りに、全く気付かなかっただなんてね。

 

あの子の成長と共に、一度は足が遠のきながらも、

やがてひとりでの散歩を楽しむようになったはずだったのに、

やっぱり、そこに金木犀の木があるのことに気が付かないままに、

何度もそこを通り過ぎていただなんてね。

 

なんだか笑ってしまうけれど、

家族3人で公園へと出掛けていたあの頃の私にとって、

大好きな香りよりも目の前にある笑顔の方が大切で、

散歩を楽しむようになってからの私にとってのあの公園は、

あの頃の大切な時間を拾い集めながら、

空を見上げるための場所となっていたのかも知れません。

 

新しくどんぐりの木を見つけたと、今年の秋の始まりの頃には、

こんな手紙を書きましたが、

実は、あれからも、更にたくさんのどんぐりの木を発見しました。

 

どんぐりの木のある大きな広場はね、

実は、ぐるりとどんぐりの木で囲まれていたのです。

 

ここにも、ここにも、

こんなにたくさんのどんぐりの木があったんだなって、

初めて見つけたそれらがなんだか嬉しくて、

どんぐりの木を辿るように更に歩いて行けば、

あの子が初めて『たぬき』を覚えた遊具のある広場へと辿り着きます。

 

ふと、足を止めて、遊具をまじまじと見つめてみると、

いつの間にか、あの頃とは遊具が変わっていて、

あの子が遊んでいた遊具は、もう、そこにはありませんでした。

 

然程、新しくもないように感じる遊具たちが、

いつの間に変わったのか。

全く気付かないままに、

私は、何度も、そこを通り過ぎていたようです。

 

ひとりで散歩に出掛けるようになったのは、今から、4年前。

丁度、あなたの年齢と並んだ頃の私でした。

 

同じ場所へ出掛けても、

見ようとしなければ見えないものがたくさんあって、

年齢と共に、物事の見え方が違ってくるからこそ、

見えてくるものというのも、きっとあるのでしょう。

 

年齢を重ねることが出来たから、

待っていてくれる景色というものが、

この世界には、たくさん存在するのかも知れませんね。

 

あなたよりも4つ年上になった私の秋の中には、

近所の公園で、3つの新しいものを見つけましたよ。

 

 

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