拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

ボクシングレッスンとあの子の才能

あなたへ

 

あの子コーチによるボクシングレッスンでは、

回数を重ねるごとに、

上手だよというお褒めの言葉をいただけるようになりました。

 

褒めて貰えるというのは、本当に大きな自信へと繋がるものです。

 

あの子がたくさん褒めてくれるから、

私のパンチは、なかなかに強くなったのかも知れないと、

こんな勘違いに気が付かないままに、

私は、夢見るようになったのです。

また、あの場所を散歩したいと。

 

あの場所。

それは、今年の初夏の風を感じる頃に、

見知らぬ男性から声を掛けられて以来、足が遠のいてしまった川沿いの堤防です。

 

あの件があってからの私は、

あの場所に変わるような場所を探してみましたが、

どうやら、私にとって、

あの場所に変わるところなど、何処にもないようなのです。

 

静かで、空が綺麗に見えて、

風が心地の良いあの場所は、まだまだ未開拓の地。

 

たくさんの冒険が待っていてくれるであろうあの場所は、

私の中での唯一無二の場所なのです。

 

あの頃よりも、強くなった私なら、

万が一の場合には、戦う術も身に付いたはずだと、こんなふうに考えた私は、

水筒の他に、おやつなんかも持って出掛けようと、

ワクワクとした気持ちで、密かに計画を立てたのでした。

いつ頃、あの場所へ行こうかなって。

 

それなのにです。

先日の私は、実は自分のパンチが、

物凄く弱いということを思い知らされたのです。

 

私がパンチを出すと、

それに合わせてパンチを押し返してくれるあの子のお陰で、

パンッ!といういい音と共に、パンチを出した!という強い感触がありますが、

私のパンチを押し返さずに、あの子がただパンチを受けるだけだと、

何の音もせずに、強い感触までもが消えてしまうのです。

 

この、押し返さないというやり方をされたのは、先日が初めてのこと。

 

これがお母さんの本当の力だよ

 

こんなあの子の言葉に、私は初めて、

自分が弱いままであったことに気付いたのです。

 

パンチを出す時は、腕の力ではなく、体の力を使うのだと教わりました。

 

あの子の褒め言葉と共に、私のパンチの出し方も少しずつ様になり、

あの子のような立派な筋肉がなくとも、

強いパンチが出せるであろうことを感じていた私ですが、

フォームが整っても、まだまだ自分の身を守ることなど程遠い話であったようです。

 

万が一の事態に遭遇した場合に、

これでは、戦えないではありませんか。

 

こうして、

密かに夢見たあの場所へ行くという夢は、簡単に打ち砕かれてしまいましたが、

自分の弱さを痛感しながら見つけたのは、あの子の新しい才能でした。

 

あの子は、人を褒めて、

ちょっとだけ、いや、大いに勘違いをさせるというやり方で、

人を伸ばすという素敵な才能も、持ち合わせているようです。

 

あの子の持つその才能は、

社会へと出て、やがて後輩を持った時に、

大いに役立つものとなるのでしょう。

 

あの場所へ行くという私の密かな夢は、遠ざかってしまいましたが、

またひとつ、あの子の持つ素敵なところを見つけることが出来ました。

 

いつの日か、再びあの場所を訪れることが出来る日を楽しみに、

今は、あの子コーチによるボクシングレッスンの時間を楽しみたいと思います。

 

 

www.emiblog8.com