拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたと一緒に感じたかった気持ち

あなたへ

 

寂しい

寂しいよ

でもね、凄く、凄く嬉しいの

 

こんな感情を胸いっぱいに抱いて、夜中にひとりで静かに涙を流したのは、

これで何度目だろう。

 

これは、あなたと一緒に感じたかった気持ちです。

 

俺、絶対にこの会社に就職したい

 

自分の夢を見つけて、一歩ずつ歩みを進めてきたあの子が、

次の一歩を踏み出したい先を見つけたのは、

昨年の、春を迎える頃のことでした。

 

とある企業に惚れ込んだあの子の話に耳を傾けながら、

枠に囚われることなく、自由な発想をするあの子に、

とても合っている企業だなと感じていました。

 

応援するよ

頑張ってね

 

あれからの私は、

あなたの分と2人分、あの子の背中を押しながら、

就職活動をするあの子の姿を見守りました。

 

幾度かの審査や面接を経て、

内定をいただいたのは、夏が始まる前の頃のこと。

 

新たに見つけた夢へ向かって、

一生懸命に活動するあの子を全力で応援したことも、

面接の練習をしたことも、楽しかった思い出です。

 

内定の通知をあの子と2人で確認した日は、

飛び上がりそうな気持ちで、あの子と一緒に喜びました。

 

次の春が来たら、あの子は県外へと巣立ちます。

 

あの子の成長を見守りながら、

この子はいつかは巣立つのだと、時に、ずっと遠い未来を思い描いてきましたが、

「いつか」から、「次の春」へと変わり、

今、此処に流れる時間を、より一層、愛おしく眺めながらも、

私の中に見つけるのは、様々な感情が入り混じる複雑な想いなのです。

 

お布団の中でひとり、時々、涙を流すようになったのは、

冬の季節を感じるようになった頃から。

 

次の季節を思い描いては、

寂しさと喜びが、同時に胸をギュッと掴むのです。

 

永遠に今日を過ごしていたいとさえ感じてしまうのに、

これからのあの子が、

立派に活躍する姿を見る日がとても楽しみ。

 

俺ね、今、こんな仕事をしているんだよ

 

あの子のこんな声を聞いた日は、どんな気持ちがするのだろう。

 

社会に出て、立派に活躍するあの子は、

どんな顔で笑うのだろうってさ。

 

これからのあの子の未来を思い描けば、

寂しくて、嬉しくて、

とても寂しくて、とても嬉しいのです。

 

ねぇ、あの頃のあなたは、想像出来ていましたか。

我が子の巣立ちが近付くと、こんなふうに、複雑な気持ちがするんだね。

 

寂しくて仕方がない気持ちと、

嬉しくて仕方がない気持ちが混ざり合った複雑なこんな気持ちも、

あなたと一緒に感じてみたかったな。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

この冬の私たちは、

あの子の成長を喜びながら、2人でどんな話をしたのだろう。

 

だからね、

本当は、あなたと一緒に感じたかったこの複雑な感情を、

あなたの分まで味わい尽くして、

今、此処にあるあの子との時間を大切に過ごしていくよ。

 

きっとまた、

夜中にお布団の中で、泣いてしまうけれど、

こんな気持ちも大切にしながら過ごして行けたらいい。

 

だって、今、私が感じるこの感情は、

きっと今しか感じることの出来ないものだから。

 

時々には、お布団の中でひとりで泣きながら、

此処に流れるあの子との時間を大切に、

思いっきり楽しみながら、過ごしていきたいなって思っています。

 

そうして、

あの子が巣立つ日が来たら、あなたの分まで笑って、

あなたが遺してくれた我が家のいつもの挨拶で、

あの子を見送るからね。

 

 

 

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