拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子の中に眠っていた新しい手掛かり

あなたへ

 

前にさ、お父さんが、

物凄く長い氷柱が出来ているところに、

連れて行ってくれたよね

 

これは昨夜のあの子の声です。

 

一日中、気温が上がらずに、この冬の中で最も寒さを感じた昨日。

あまりの寒さに震えながら、

あの場所を思い出していた私と同じように、

あの子の中にも、あの頃の記憶が蘇っていたようでした。

 

あれは何処だったのかな

お母さん、知ってる?

 

剣みたいに長い氷柱で遊んだ記憶を辿りながら、

あの子もまた、あの場所が何処であったのかを知りたがっていました。

 

あなたの実家から、そう遠くはない場所であると記憶したままに、

他の誰も知らないあの場所は、

私の中で、あなただけの秘密の場所として、記憶の中に収めた場所でした。

 

そっか

知らないんだね

 

私の話に頷いたあの子は、

幼かった頃の記憶を辿りながら、ぽつりと言いました。

風車があった気がするんだけれどって。

 

風車。

私の記憶の中に、風車は見当たりませんでしたが、

確かに、あの場所は、水が流れる場所です。

風車があっても、不思議ではないのでしょう。

 

あの子の中に眠っていた僅かな記憶は、

もう一度、あの場所へ行く手掛かりとなるのかも知れません。

 

あの場所を探すことを諦めていた私ですが、

いつの日か、

あの場所を見つけることが出来るのかも知れませんね。

その時は、どんな気持ちがするのでしょうか。

 

きっと、今頃のあの場所へは、

立派な氷柱が出来ているのでしょう。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

この冬は、いつかのあなたがしてくれた今度の約束を、

叶えてくれたのかも知れませんね。

 

今年は寒いから、あの場所に行ってみようかって。

 

いつかのあなたとの今度の約束は叶わなかったけれど、

あの子の中に眠っていた記憶を見つけることが出来たから、

新しい夢を持つことが出来ました。

 

もし出来れば、

いつか、あの子と一緒に、

あの場所へと辿り着けたらいいなって。

 

 

 

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